【第118話】
ピラミッドの探索
俺達盗賊が思いつく罠をいろいろ挙げていったが、
魔法を使った罠は回避のしようがない。
全滅を避けるために、何人かおとりで前方を探索していく、という方法しかなさそうだ。
俺達は充分な休息をとり、翌朝、食料や水などは、マヨイが一通り揃えてくれた。また、ピラミッドへの方角を示した地図や、砂漠を横断できるラクダも人数分手配してくれた。短時間で、これだけの食料と飲み物などを手配するのはマヨイが有能な証拠だ。大変だっただろうが、助かる。できるだけ砂漠横断での体力消耗は避けたいところだからな。
それだけ、俺達にかかる期待が大きいってことだ。
俺達はマヨイや、イシスの兵士達に別れを告げ、イシス北にあるピラミッドに向かった。
前回の戦いで、かなりの数の魔物を倒したのか、それともピラミッドに魔物を温存しているのか砂漠の旅は順調でたまに、野生の魔物と出会うことはあったものの、操られている魔物と遭遇することはなかった。
ピラミッドには翌朝着いた。
「結構大きいな」
俺は拭きながらつぶやいた。遠くで見ても大きいと思ったが、小くで見ると圧倒される。
「ここに王家の宝とか眠っているんだろうな。
もし俺達が”仕事”で来ていたら、楽しくてしかたないだろうな」
ゼネテスが恨めしそうにピラミッドを見上げる。
「一生遊んで暮らせるお宝もあるんだろ、
盗賊家業ともおさらばできるだろうな」
仲間も妄想を膨らませる。
親方はみんなの話しを聞いて苦笑いしていた。
「おまえたち、ただ戦いにきたのが嫌だと感じるならば
今回は遺跡荒らしの前準備で下調べに来たと思えばよい。
もし、あのエビルマージを倒し、バラモスもいなくなったら、
このピラミッドのお宝を根こそぎ頂いていこうぞ」
「さすが、親方!」
「話がわかりますぜ!」
親方は仲間の士気をあげるのもうまかった。
ピラミッドに入ると真中に大きな通路がまっすぐある。役割分担で最初は俺と仲間の一人が先頭にたって探索をすることにした。俺は剣を抜き、地面を探りながら慎重に進む。
しばらくすると十字路が見つかった。その十字路を剣で付くと、手応えが軽い。
「さっそく落とし穴だな」
俺は仲間に知らせた。
「ピラミッドの罠なのか、エビルマージの罠なのかわからないが。
ここまではの通路は無事だから皆を連れてきてくれ」
「あぁ」
罠を見つけたので今度は別の仲間二人が先に行くことにした。まずは通路を左手から探索することにする。
複雑な洞窟や遺跡を回る場合に、迷わないように「左手の法則」というものがある。
左手を壁にそって歩けば、いつかは必ず一周し、元にいた位置に戻ってくるというものだ。途中、瞬間移動のような罠があると使えないが初めて探索する場合はマッピングをしながら、左手の法則によって進むのが常套手段だ。
そうすることで探索する場所の外枠ができる。あとは地図に埋まっていない内部を探索し、迷った場合は入り口がわかっているので入り口に戻り再探索を行うわけだ。
しかし、左手に言った仲間が戻ってこない。しばらくするとかすかに悲鳴が聞こえた気がした。
「何か・・・あったのか?」
第119話 人食い箱
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