【第24話】
縄抜け
ロマリアから来た老人に情けなくも捕まった俺とリュック。
本当にあっけなかった。俺とリュックが手も足もでないで、一瞬で捉えられてしまった。老人は、俺とリュックを縛り上げさっさと行ってしまった。
「ちくしょうロープをはずしやがれ!」
俺はぎしぎしとロープを手足に巻かれたロープをはずそうと力任せにひっぱった。しかしロープは簡単に切れるはずもなく、びくともしなかった。
「リュック、そっちはどうだ?」
「こっちもダメだよ・・・全然外れない」
リュックも木にロープをこすりつけたりしているみたいだがダメのようだ。
「魔法で燃やせないか?」
「手を縛られているのに、魔法は使えないよ。
それに使えても、ロープと一緒にボクの手ごと燃えちゃうじゃない」
「まぁ、そうだが、
どこかに火をつけてその火でロープを焼ききるとかできないか」
「できればやりたいんだけれど・・・・
ダメだ・・・無理だよ」
「そうか・・・・・
こんなときに縄抜けの技術があればな」
縄抜けとは盗賊の技術の一つで縄を縛られたときに縄をはずす技術の1つだ。
俺は盗賊まがいなことをやっていたが、どれも独自で見に付けたもので技術に偏りがあり正式な盗賊の技術は習得していなかった。鍵開け等も、独学で学んだものばかりだった。
「それにこのロープ、ただのロープじゃないみたい」
「何?」
「特殊な繊維じゃないかな。
もしくは魔法のロープかも。
さっきから木でこすってもまったくほつれもしないんだもの」
「やっぱり無理か?」
「無理だね・・・・」
俺たちがロープをはずそうと、もがいているとロマリア方向から何か物音がしてきた。・・・・馬の足音だ。
遠くを見ると、砂煙が立ち上り、何かが近づいてきた。しばらくすると、そしてきらびやかな鎧に身を包んだ騎士達が、俺たちの周りに現れた。
「いよいよ、終わりか・・・」
俺はがっかりと肩を落とした。
「やっぱり悪いことすると、罰が当たるね・・・・」
「国宝を盗み出したってことは・・・死刑?」
「それはわからないけれど・・・・あるかもね・・・・
どっちにしろ、もうロマリアから出ることはできないだろうね」
「クソ・・・・」
俺は腹が立った。捕らえられることに。リュックを今回の騒動に巻き込んでしまったことに。自分の無力さに。そして、まったく歯が立たなかったあの老人に。すべてに・・・・・・腹がたった。
第25話 冷たい牢獄
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