【第67話】
告白
洞窟を進んでいくと、人の手で作られたと思われる
水場に出た。そこでエルフのアンを俺達は見つけた。
アンは、レルラに困った顔をむける。
「…アン、どうした?」
「隣の人達は…人間ね」
少し警戒したような目で俺達を見た。
「あぁ…君の居場所を知っていたから案内してもらった。
ノアニールという人間の村からから来たそうだ」
「そう…」
アンはノアニールという言葉を聞いて、少し安心したようだ。自分が恋をしている村長の息子もノアニールにいるからだろう。
「俺達は村長に頼まれてきた。
村長の息子を連れ戻して欲しいとな」
そう俺が言うと、アンはまた警戒した目で俺達を見た。ゼネテスも俺を非難するような目で見る。なんだよ、その目は。別に隠すことじゃないじゃないか。
「何で来たの!?」
レルラに厳しい声をかける。
「何でって…それは、君を連れ戻すためさ」
「余計なお世話よ!」
思いも寄らない言葉が帰ってきたのか、レルラは驚いている。
「私は村には帰らないわ。どうせお母様の命令で来たんでしょ」
「いや、女王様の命令で来たわけではない…」
「じゃぁ、なんで来たのよ…」
「…」
レルラは黙りこむ。
「おい、腰抜けのまま終わるつもりか?」
黙っているレルラを見てゼネテスが問いかけるように言った。
「…君が好きだからだ」
アンはその言葉にかなり驚いたようだ。
「好きだから…村に戻ってきて欲しい。
君と一緒にいたいんだ」
アンは口を開きかけたが、何も言わない。そして目を瞑る。アンは何か考え込んでいるようだ。
第68話 親方の教え
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