消えた王様
笑い事ではない。
私には、帝王学もないし、誘惑の剣の一件の時も思ったけれど
そもそも、私は、国を治めるということにまったく興味がない。
とにかく、王様に会って話をつけないことには・・・・・・・
「王様、知りません!!?」
若い兵士が、さっそく話しかけてきたので、
わたしは、彼の声を遮り、王様の居所を聞いてみた。
「ひっ!」
「おうさまぁ!」
王様なら・・・・あ、朝から見かけません・・・が・・・・」
「・・・・・・あ、お、お、お、おうさまですか・・・・・
どこ行っちゃったのよ!!!
「もう!
ドレスを踏みつけないようにしながら、
裾をつまむように持ち上げ、私は、ぱたぱたと走っていった。
「なんだったんだ・・・・・・・・」
王様を見つけることができなかった。
そこで、仕方ないので城を出て、城下町に出ることになった。
しかし、ドレスで街に出るのは目立ちすぎる・・・・・
人がわらわらと集まってきた。
「あ、女王様だ!」
「え!?どこどこ!?」
「あそこだよ!」
「あ、ほんとだ!」
私の周りに、群衆ができる。
ひえぇえぇ~
逃げられない~
ん?
ぎゃ、ぎゃくにこれを利用して、
いろいろな人から情報を集めればいいじゃない?
そうよぉ~!
「あ、あの、王様はどこにいるか、知っていらっしゃる方いますでしょうか・・・」
と、できるだけか弱い声をだして、女王様っぽく(?)聞いてみた。
「おぉ~!
王女様のお声を聞けた!!!」
「王女様、このようなじいにまで話しかけてくれるとは
なんと心の広い方じゃ!」
「きゃぁ!!!
わたしにも、わたしにも見せて!!!」
うっ・・・・・・・
私の言っていること、聞いている?
そ、そうじゃないんだけれど・・・・・・
「で、ですから・・・・・・お、おうさま・・・・・・・・・」
「チェルト様!!!握手してください!」
「わたしが、先よ!!!」
だめだ・・・・・・
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