【第124話】

消えた王様


本当に、ロマリア国の女王となってしまった私。

笑い事ではない。

私には、帝王学もないし、誘惑の剣の一件の時も思ったけれど

そもそも、私は、国を治めるということにまったく興味がない。

とにかく、王様に会って話をつけないことには・・・・・・・



「チェルト様・・・・・ご機嫌うるわしゅう・・・・・」


「王様、知りません!!?」


若い兵士が、さっそく話しかけてきたので、

わたしは、彼の声を遮り、王様の居所を聞いてみた。


「ひっ!」


「おうさまぁ!」


「・・・・・・あ、お、お、お、おうさまですか・・・・・

 王様なら・・・・あ、朝から見かけません・・・が・・・・」


「もう!

 どこ行っちゃったのよ!!!


ドレスを踏みつけないようにしながら、

裾をつまむように持ち上げ、私は、ぱたぱたと走っていった。


「なんだったんだ・・・・・・・・」



城内を、くまなく探し歩いたのだが、

王様を見つけることができなかった。


そこで、仕方ないので城を出て、城下町に出ることになった。

しかし、ドレスで街に出るのは目立ちすぎる・・・・・

人がわらわらと集まってきた。


「あ、女王様だ!」


「え!?どこどこ!?」


「あそこだよ!」


「あ、ほんとだ!」


私の周りに、群衆ができる。

ひえぇえぇ~

逃げられない~


ん?

ぎゃ、ぎゃくにこれを利用して、

いろいろな人から情報を集めればいいじゃない?

そうよぉ~!


「あ、あの、王様はどこにいるか、知っていらっしゃる方いますでしょうか・・・」


と、できるだけか弱い声をだして、女王様っぽく(?)聞いてみた。


「おぉ~!

 王女様のお声を聞けた!!!」


「王女様、このようなじいにまで話しかけてくれるとは

 なんと心の広い方じゃ!」


「きゃぁ!!!

 わたしにも、わたしにも見せて!!!」


うっ・・・・・・・

私の言っていること、聞いている?

そ、そうじゃないんだけれど・・・・・・


「で、ですから・・・・・・お、おうさま・・・・・・・・・」


「チェルト様!!!握手してください!」


「わたしが、先よ!!!」


だめだ・・・・・・


第125話 演技

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