【第133話】

わたしが見たかったもの


魔王バラモスを倒してから、まっすぐアリアハンに帰ろうと思ったけれど

ポルトガ、ロマリアと少々寄り道をしてしまった。

両方とも悲しい出来事だった・・・・・・・


でも、行ってみて良かったと思う。

平和は取り戻したけれど、だからといって今まで起こった悲劇は

現実に起きたこと。

それは決して忘れてはいけない。

もうこのような過ちがおきないように・・・・・



ついに、戻ってきた・・・・・・

故郷アリアハンに・・・・・・


どんな顔で帰ればいいのかな・・・・

お母さんに、幼なじみ達に、王様に、お城の兵隊さん達に・・・・

・・・・・ちょっとわかんないや・・・・・・・

そんなことを考えながら、アリアハンの街に入った。


「チェルト!」


街には行った瞬間、大きな声で呼び止められた。

道具屋のおじさんだ・・・・・・・


「おぉ~いぃ!

 チェルトが帰ってきたぞ!!!」


おじさんのかけ声とともに、

・・・・アリアハンの人達が・・・・・・

私を出迎えてくれた・・・・


「チェルト!」


「待ってたんだよ!」


「遅かったじゃないか!」


幼なじみ、剣術、魔法学校の同期の懐かしい友達が

私の周りに集まってきた。


「ずっと・・・・・待って・・・・・いたの?」


「そうだよ!

 バラモス退治の知らせは2日前に届いていたんだから!

 チェルトがすく帰ってくると思って、

 街中みんなでお祭りの準備をして待っていたのに。

 どこで油うっていたのよ!」


「う、うん・・・・・ごめん・・・・・・・・・」


もうバラモス退治のことは、王様には伝わっているとは思っていたが

街のみんなまで広まっているとは思わなかった。


「何、主役が謝っているの?

 さっ、早くいこう!」


「い、いくってどこへ?」


アリアハンの中心にある大広場に連れてこられた。


「もう、みんなできあがっちゃっているよ」


街はお祭り騒ぎだった。

たくさんの店が出ていて

音楽に合わせて踊っている人もいれば、

おしゃべりをしている人もいる。

おいしそうに食べ物を食べている人もいる。

でも、みんなに共通でいえることは、とにかく、楽しそう・・・・・・・・・

みんなが、幸せそうにしている・・・・・

それを見ていたら、涙がぽろっと流れた。

あ、あれ?

なんで?


「チェルト~

 武勇伝聞かせてくれよ。

 バラモスって、どんなやつだった?

 ん?

 お、おいっ!?

 チェルト、なんで泣いているんだ?

 どうしたんだよ!?」


「チェルト、どうかしたの!?」

 

・・・・・・・・わたしは・・・・・・・・・

これが見たかったの・・・・・・

 

そうよ・・・・・・・・

みんなが幸せそうにしている姿が・・・・・・・・見たかったの。

父さんが命をかけて夢見た世界・・・・・・・

良かった・・・・・・

今、本当に平和を取り戻したと実感した・・・・・


第134話 笑顔

前ページ:第132話 「第131話について」に戻ります

目次に戻ります

ドラゴンクエスト 小説 パステル・ミディリンのTopに戻ります