【第301話】

2つの石と伝説の神器の過去


マイラの村長の家を出た私はラダトームの王が派遣したものにより

ラダトームに連れ戻された。

気がついたら私はラダトームの城の前にいた。

ラダトームの城は前と変わらず残っていた。




「ささ・・・チェルト殿こちらでございます」


屈強な兵士に連れられ私は城門をくぐった。

直接城の前にルーラで飛ばされたため、

城下町を見ることはできなかったが

町の人に被害はなかったのだろうか、心配だわ。

私はまっすぐ王の間に向かった。

 

そこに、ラダトーム王は健在だった。

以前太陽の石の一件で見たときよりも若くたくましく見えた。


「チェルトよ、よく戻った。

 そなたの武勲、このラダトームにも伝わっているぞい。

 メルキドよりよくぞ生き残って帰ってきた」


姿だけでなく、声、言葉まで以前とは別人のもので、

若々しく、王の声には威厳があった。


「ありがとうございます。

 しかしメルキドでの戦いはつらく悲しい戦いでした」


「そうであろう。

 たくさんの失われた人の命、そして敵であれ、たくさんの魔物の命を奪わねばならぬ、

 生き残るための戦いとはいえ、虚しい戦いだったであろう」


「そうですね・・・・一刻もこの戦いを早く終わらせたいと思います」


「同感だ」


「ところで、王様、ラダトームも今緊急時であることだと思いますが

 なぜ私を呼び寄せたのでしょうか?」


「まぁ、待て。

 そう話をせかすでない。

 まず、伝説の武器と防具の集めの方はどうなった?」


「はい、3品のうち、王者の剣、勇者の盾を手に入れました。

 後は鎧のみです」


「そうか。よくやった。さすが太陽の石の輝きを取り戻した者だ。

 ではこれからルビスの塔に向かうのだな」


「なぜ、それをご存知なのですか?」


確かにルビスの塔に行こうとは思っていた。

そこにいく理由はルビス様の呪いをとくため。

なぜ王様は私がそこにいくのとわかったのかしら。

もしかして・・・・


「伝説の鎧が・・・・ルビスの塔に?」


「そういうことだ。

 ラダトームの古い古文書が発見されたのだ。

 太陽の石の件以来、ラダトームで伝説の武器と防具に関する情報を探させたのだが

 わかったときにちょうど大魔王との戦になってしまってな。

 話すのが遅れてしもうた」


「そうだったのですか」


「どのように、王者の剣や、勇者の盾、また残り一品の光の鎧が作られていたのか、

 太陽の石との関係はいったいなんなのかというのがわかったのだ。


 オリハルコンは神々の使う武器として、需要が高く、

 それを生成することができる炎の神、ガイア神とガイア神の部下はその製造に追われていたそうだ」


炎の神、ガイア神。

サイモンさんが持っていたガイアの剣もきっと炎の神から名前がとられたものなんだわ。


「しかしガイアの神の部下がオリハルコンの製造を人間にやらせてみてはと提案したのだ。

 最初はためらったガイア神も多忙なゆえ、人間にオリハルコンの製法を教えたのだ。

 神が持つ2つの石がもたらす熱によりオリハルコンは加工され作られた。

 1つは、太陽の光を熱にする、お主が持っている、太陽の石、

 もう1つは、月の光を熱にする、月のかけらと呼ばれる石だ。


 だが、人間はおろかだ。その石を戦いに使ったのだ。

 その2つの石で作られたオリハルコンの武器で戦争が始まった。

 その責任を他の神々に追求されたガイア神は幽閉された。

 神でも、過ちをおかすことがあるのだな・・・」


なるほど、今でこそ、大魔王ゾーマにより太陽の光はないものの

太陽の石はそもそも、オリハルコンを溶かすための熱として使われていたのか。


「だが、神がそこで人間をすべて殺してしまうには無慈悲である。

 そこで精霊ルビス様は、他の神々に人間に機会を与えるよう提言した。

 ルビス様は我々人間を救おうとできえう精一杯のことだった。

 それは二つの石なくして、3つの神器、ミスリルの盾、ブルーメタルの鎧、そしてオリハルコンの剣を

 100日内以内に人間達に作れるかという試練を与えたのだ。


 人間だけでは、無理だったかもしれない。

 しかし、ホビット、エルフも協力し、種族を越えた作業はその3つの神器をつくってみせた。

 それがそなたの持つ神器なのだ」


第302話 海の魔王

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