[994] 非常レス OVERS:M・加藤@イングランド(Lv66) 10月30日 (火) 09:06:49 今回はあびさんが提示された内容についてのレスです。
>「礼節を云々するのは、まず衣食に満足してからだ」
>今回のテロで、実行部隊にいる(いた)人は分からないですが、 >テロの首謀者クラスの人の考えは、レスにあった話のように >富を偏りに一石を投じる・・・のとはまた違うと思います。
あ、すみません。 私のレスは神楽坂さんの「食糧を均等に配分すると」というのに基づいているので、 テロに関することとは、話は別です。 なので、今回はあびさん提示の本題の方について意見させていただきます。
>イスラムのジハードの考え方(かなり極論になっているとは思いますが)を盾に >何か他の、計画なり目的なりがあるのではないかと思います。
一つ言うとですね、世界には「反米」というビジネスが成立するんですよ。 そしてそれに対する「反反米」というビジネスも成立します。 (「協米」ではなく、あくまで「反米」に対抗する主義です。)
これは冷戦のときから変わってませんね。 当時は「反共産主義」「反民主主義」というのがビジネスになっていました。 しかもこれは、各側の国家を維持する上で不可欠なビジネスにまでなっていたんですね。 つまり、反共産という主義があったからこそ西側諸国(この場合米も含む)は協調しあえて、 反民主という考えがあったからこそソ連はあの大きな領土を 一つの国家としてまとめることが出来ていたわけです。
ところがベルリンの壁開放と東西ドイツ統一などに代表されるように、 ほんの数年の間に一気に東西間の隔たりがなくなると、 まずソ連が国を維持できなくなったわけですね。 ソ連の国家体制というのは、杜撰な農業改革、腐敗した特権階級、軍事主義、と とてもじゃないけどあんな広大な領土を国家としてまとめ上げられるようなものじゃなかったんです。 それが半世紀近くも国として成り立っていたのは、 ひとえに反民主という主義のもとで固まっていたから、とも言えるかもしれないんです。 それが一気に東と西が協調しあうようになったから、固めていたものが解けて崩壊したんです。
それじゃあ西側諸国は、東西間の隔たりがなくなってどうなったかというと、 ちょうどその時、もう絶妙のタイミングとしか言えない時期に事件が起こったんですね。 サダム・フセインによるイラクのクウェート侵攻です。 (ベルリンの壁開放-1989年 東西ドイツ統合-1990年 湾岸戦争勃発-1990年 ソビエト連邦崩壊-1991年) この戦争は第二次世界大戦後ずっと続いている中東問題に発端があると言われますけど、 とりあえずそれはここでは置いときます。 この事件が起こったことで、西側諸国は「反フセイン」という主義でまとまり続けたんです。 そして冷戦のときと同じように、フセインはフセインで「反西側諸国」という主義を持つことで、 自分の政権を固めたんですね。 イラク国内は「反西」の考え方で塗り固められて、 フセインは西側諸国との対立を続ける以上、国内での立場は確立したものになったんです。
つまり、「反米」「反西」というのは、権力者たちにとって支持を得る手段になっているんです。 キューバのカストロは、反米を唱えてもう40年も至高の権力を握っているわけです。 西側諸国も、こういう「反米」「反西」を「公敵」とみなすことによって、 お互い協調・団結しながらやっているんです。 「敵」を存在させることで国家を維持する、これはもう数千年前からずっと同じです。
さて、今回のタリバーンですが、これも全く同じです。 タリバーン政権を認めているのは、世界で3ヶ国しかありません。でも、タリバーンが反米主義を唱え、しかもそれを行動によって明らかにした場合、 世界の反米主義者達の支持を得られると計算したんですね。 そして、これは事実成功してます。
数ヶ月前のバーミンガムの仏像破壊も同じ原理ですね。 そうすることによって自分たちの存在をアピールし、イスラム原理派の支持を得ようとしたんです。 各国が非難しようと知ったことじゃありません。 非難をあえて無視することによって、自分たちの存在感を高め、 かつ各大国に抵抗する力があることを国民に見せつけようとしたわけです。 力が無いような国家に国民は付いて行こうとはしませんからね。
この場合、西側諸国に恭順することで政権を認めてもらおう、という考えは成り立ちません。 それどころか、恭順したら多分非恭順派によるクーデターが起こり、 タリバーンは国内権力を失うでしょう。 となると、権力を維持するにはもう徹底的に反抗するしかないわけです。
長くなりましたが、今のところはこんなものでしょうか。 8割方歴史トークになっている気もしますが、本題からはずれてないでしょう。
…2時間以上かかりましたか。 他のレスは先送りにさせていただきます。(^^;;
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