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【34、月の地下渓谷】

   セシル達は、バハムートと別れて再び月の館の前にやってきた。エッジはつまらなそうに言った。
「一緒についてくればいいのに、ケチだな!」
「仕方がないよ。それが幻界の掟だから。幻獣神自身が掟破りしたら示しがつかないよ。」
  もっとも幻獣が自分の居場所から離れないのは、掟のためだけではないらしい。
  召喚士が幻獣を召喚する場合、幻獣はその場を離れるというわけではない。彼らは呼び出しを受けた時に、自分達の幽体を主の所に向かわせて戦うのである。そのため、人間が魔法を唱えるのに魔力を消耗するように、幻獣も技や魔法を繰り出すのに、体力や魔力をかなり消耗するらしい。
  彼らは幽体であるため、一定時間しか主の前に現れないが、彼らは呼び出しを受けるまでは、自分の居場所で失った体力、魔力を回復させるために休んで待機していなければならないのだ。
  セシル達は難しいことはわからないが、ともかく新しい幻獣の力を得たリディアを頼もしく思った。
「でもあんな強力な仲間ができて心強いよ。」
「そうね。これからもリディアの召喚魔法に頼らなければならないこと多いと思うわ。」
  これから向かうのは月の中心核と呼ばれる所である。そこには全ての元凶であったゼムスがいる。それにそこにたどり着くまでにもどんな強敵が待ち受けているのかわからないのだ。
                     ☆
  セシル達は館に入ると、すぐに左の部屋で体力を回復し、右の部屋で魔力を回復した。
この2つの部屋には魔導船に取り付けられていた回復ポッドに似た物が床に内蔵されているらしい。ただ体力と魔力というものは、それぞれ使用するエネルギーの質が違うので、瞬間睡眠をとる形の回復ポッドのように、同時に回復することはできないようだ。
「それにしても月の民という者はかなり高度な文明を持っているのだな。」
  カインがこの月の民の館に来るのは初めてだったので、彼はこの館の色々な機能について驚いていた。
「そんなことより、フースーヤのじいさんと、ゴルベーザは一体どこだ?てっきりここに帰ってきて戦闘の準備をしていると思ったのに・・。」
「この館にまだ何か仕掛けがあるかもしれない。皆何か手がかりを探してみよう!!」
  セシル達は、まだ入ったことがない奥の部屋に入り、アッと驚いた。奥の部屋はさらに広く、そしてそこには色とりどりの8つもの大きなクリスタルがあった。さらにクリスタルはセシル達にそれぞれ話しかけてきた。
「フースーヤとクルーヤの息子が月の中心核へとゆきました。もうずいぶん時間がたっていますが・・。」
「月の中心核?でもどうやってそこへ行くのです?!」
  この部屋から出口のようなものはなさそうである。8つのクリスタルは自分達の場所のちょうど中心の場所を輝かせて道を示した。そこには魔法陣のような場所があった。
「バブイルの塔が破壊されゼムスの封印が解けました。」
「そこから月の渓谷を通ってゼムスのいる月の中心核に行くことができます。」
「途中、ゼムスの手下となった強大なモンスターが立ちふさがっています。気をつけて!!」
「さあ、あの魔法陣の中に立つのです。あなた達を中心核へと通じる道にみちびきましょう!!」
  セシル達はいわれるままに、魔法陣の中に入って目をつぶって立った。セシルはすぐローザの手を取り、ローザはカインの手を取った。カインは次にリディアの手を取り、リディアはためらいがちにエッジの手を取った。そして最後にエッジはセシルの手を取った。5人の手がつながった時、クリスタルは光を放った。セシル達はその不思議な光によって、確かに移動するのを感じた。セシル達が目を開くと、そこは深く暗い谷であった。


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