敗者の辿る道
それは王様も同じようだ。
きっとこのような試合は、めったにないのだろう。
さすがに、この様子は王様も考えている様子。
闘技場は、魔物の死体を運ぶ作業が行われている。
そして、うめき声を出している鬼面導師は
丁重に運ばれて手当をされるのかと思ったのだが、
まるで、ゴミのように、荷台にほっぽりおかれて、
乱暴に運ばれていく。
な、なによ!
あれは!
すると、前の観客が話している声が聞こえてきた。
「しかし、ひでぇもんだよなぁ」
「あぁ・・・・・」
「あの、鬼面導師、きっと毒殺されるぜ」
「え?どういうこと!?」
つい、声を出してしまった。
「お?
お嬢ちゃん、しらないのかい?」
私たちの存在に気がついた、観客が
あっちから話しかけてくれた。
「あの鬼面導師、腸出ていただろう。
あの傷じゃいくら回復魔法を賭けて傷を回復させても
もう戦えないだろう。
戦えないモンスターは、もういらないモンスターなんだ。
いらないモンスターに飼育費をかけるのはもったいないからな。
つまり・・・・・・・そういうことよ」
「そう、使い捨てだ」
「まるで物だぜ」
「そ、そんな・・・・・・・」
私は悲しい気持ちと共に怒りが出てきた。
「お、王様・・・・・・・・・」
「チェルトよ、もう行くぞ・・・・・・・・」
滅多にまじめな顔をしない王様が、
この時ほど、真剣な顔をしたことがあっただろうか・・・・・
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