笑顔
「チェルト・・・・・・・どこか痛いの?」
「・・・・・・ううん・・・・・・・・
なんでもない・・・・・」
「何でもないって顔じゃ・・・・・」
「・・・・ほんとうに、なんでもないの・・・・・
ごめんね、急に泣いちゃって。
いろいろ、思い出しちゃって・・・・・・
こんなにめでたい日なのに・・・・・・・・私って変ね・・・・・」
「・・・・・・今日は家で休んだ方がいいよ。
町の人やお城の人には チェルトがアリアハンについたこと伝えておくからさ。
ね?」
「うん・・・・・・・・・ありがと・・・・・」
「おふくろさんも安心させてやりなよ。
おまえの、かあさん、元気なことでは有名だけれど
やっぱり、おまえが旅立ってから元気なかったし」
「・・・・・・・お母さんが?」
「そう、”あの”チェルトのお母さんがだよ」
「・・・・・・”あの”お母さんが・・・・・・ね・・・・・・・
・・・・・・・ひどいなぁ・・・・・
・・・人の母親のことをつかまえて、そこまで言うことないじゃない」
「やっと、笑ったぁ~」
「そうだよ、おまえは笑顔が一番!
はやく、おふくろさんにあってきなよ」
「うん」
みんなの気遣いがうれしかった。
家に帰ってきた・・・・・・・・・
前にもこんなことあったよね。
ムーンに・・・・・会う前。
ムーンにも後でちゃんと報告しなきゃ。
そんなことを考えながら、家に入る。
「どなた?」
ドアを閉める音が聞こえたのか
奥から母さんの懐かしい声が聞こえた。
私が答えないので
母さんがパタパタとスリッパの音をさせながら、
駆けつけてくる音が聞こえる。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「お・・・かあ・・・・・・・さん・・・・・・・」
ちょっと声がうわずってしまった・・・・
お母さんに抱きつくの、照れくさかった。
「お帰り・・・・・・・チェルト・・・・・・」
どんな顔をお母さんに見せるか
家に帰る途中、悩んだけれど
お母さんの姿を見て、泣きそうだった・・・・・・
涙がこぼれそうだった。
また、泣いちゃう・・・・・・・
でも・・・・・・・ここは・・・・・・我慢して・・・・・・・・
思いっきり、笑うことにした。
「ただいま・・・・・・かあさん・・・・・」
とびっきりの笑顔をお母さんに見せて言ったつもりだった。
お母さんも私の笑顔を見て
泣きそうだったけれど、笑ってくれた。
やっぱり、笑顔が・・・・・・一番だよね・・・・・・・・
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