【第206話】

隠された力



「うっ・・・・・・・・・・」


私はいったい、どうしたんだろう。

よろよろと立ち上がる。



そうだ・・・・・・

確か、魔王の影との戦いで、私は負けてしまったんだ・・・・・




私は・・・・生きてるの?

なんで?


近くを見渡すと、はぐりんが目をまわしてる。


「はぐりん!」


「・・・・・・・・・う~ん・・・・・・・・・」


「生きてるのね、はぐりん!」


「・・・・・チェルト?

 あれぇ?

 あの変な霧は?」


「それが・・・・・・消えちゃったの」


「チェルトがあの霧にまきこまれて

 それで・・・・・あれ?


 そのあと、どうなったんだろう?」


「はぐりんも覚えてないの?」


「うん」


「そう・・・・・・」


とにかく、助かったみたいだ。


私が無が夢中で相手を倒したのだろうか?


いや・・・・・それはない。

私はあのとき、完全に気を失ってしまった。

奴に負けてしまったのだから。


では、誰が?


私ははぐりんを見る。

はぐりんは、きょろきょろした目で私のことを見る。


「なぁに?」


「ううん・・・・なんでもない」


まさか・・・・・・この子がね・・・・・

ちょっと信じられない。


きっと、誰かが、私達の力になってくれている人がいるんだ。


そうとしか考えられない。

誰かはしらないけれど、私は心の中で

礼を言った。


しかし、それが、はぐりんの力であることを

私はあとで知ることになる。



久々のあとがきでございます。

バトルシーンをひさびさ書きましたね。


結構、チェルトでは、心理描写を書くことに

力をいれているので、

バトルシーンはあまり書くことないですよね。

うまく書けていたかな?


今回は、ラダトームを出るときに、

父親をしったチェルトはどうするか?


いやいやながら、しかし戦わなければいけない

自分の心を鬼にして戦うチェルト、


死そのものをかたどる、魔王の影、


そして、はぐりんの謎に少し触れてみました。


魔王の影って、ゲームではザラキを使う

いやらしい相手っていうイメージしかないのですが、


なぜ、魔王の影っていうのかを考え、

あの影は、死そのものをかたどっているもの、

魔王の影=ザラキという設定で書いてみました。


そして、苦痛の中、死ということで、

苦しみを逃れる手段がある、ささやき、

それが、ザラキであり、

死ねば楽になれるかもしれないが、

しかし、それでも抵抗して生きることに執着して

戦い続けるチェルト

そんなところを書いてみました。


死って、楽になるには、一番簡単な逃げ道かもしれないですよね。

簡単っていったら、変か。


別の意味で考えれば、死ぬことだって勇気のいることかもしれない。

まぁ、その話はおいておいて、


苦しみからのがれたいために、死という手段をとれば、

確かに逃げられるかもしれないけれど、

それに負けてはいけない・・・

そんなことを作品で少し書きたかったのかな?

自分としては。


ドラクエで出てくるキャラクタをつかって

そして自分のインスピレーションでひらめいたものを

話にするっていうのは、難しいのですが、


うまくチェルトの冒険を通じて、うったえられたかわからないけれど、

なんとなくわかってくれればいいかなって思います。


あとは、はぐりんの謎ですよね。

これは、前々からあっためているお話なので、

それは、またいつかの話で。


今回のチェルトの冒険、楽しんでいただけたでしょうか?



第207話 夢の中の光

前ページ:第205話 「凍てつく波動」に戻ります

目次に戻ります

ドラゴンクエスト 小説 パステル・ミディリンのTopに戻ります