【第326話】
八つの宝箱
狡猾なトラップ。目に見えないバリアにはばまれ大ダメージを受けてしまった。トラマナがあれば回避できるのだが、私には使えない。私は二階の階段があったところまで戻ることにした。
必ず正ルートがあるはずだ。先ほど踏み込んでしまったバリアでのルートしか存在しなければ魔物達も行き来できないからだ。二階の階段のところに行き、今までの道のりをマッピングしたあともう一本の道を歩いていった。
しばらく進むと、直進する道と左に曲がる道に分かれた。今までマッピングした地図と照らし合わせてみると私のマッピングがあっていれば、左に進むと例のバリアがある大広間の反対側につくはずだ。私は左側に進むことにした。そうすると扉があった。
「さっき、バリアがあった部屋から見えた扉かしら」
私は静かに扉をあけた。扉をあけると、さっきとまったく同じ光景があった。大広間の左右に複数の宝箱が見える。
どうやら、さっきバリアがあった扉の逆側に出てきたようだ。私は紙を取り出し、丸めて部屋の中にほおりこんだ。紙は燃えることもなく、大広間の中に落ちる。
「こっちが正ルートってことね」
大広間には右に4個、左に4個の宝箱があった。
「でも、あやしいんだよねぇ・・・・」
さっきこの部屋に入るときトラップが仕掛けられていたわけだからこの部屋に何かあるには違いない。
だが最初から正ルートを選んでいた場合、先ほどのバリアにはひっかからないわけだから何のトラップも発動しないで、この部屋につくわけよね。つまり、もう1つ他に何かトラップがあるように思えるの。
考えられるのは、宝箱が人食い箱とか。もっと厄介なのが、ミミックだったらなおさらだ。
しかし宝箱を判別するインパスの魔法を私は使えない。カンダタのような盗賊がいてくれれば、罠解除が行えるから、盗賊でもいいのだが、そのような技術も持ちあわせていない。一人旅のつらいところだ。トラップが多いところは、魔法使いと盗賊は必須だと改めて思った。
開けないで、部屋を出てもう1つの通路に出てもよかったが光の鎧があるかもしれないことを考えると、この塔を徹底的に探す必要はある。
リスクを覚悟で、宝箱をあけることにした。まずは左側の宝箱をあけた。4つの宝箱ともトラップはなかった。
命の木の実、力の種、素早さの種、10000Gだった。たいした品ばかりだ。お金はあまりいらなかったが、その他の魔法の種は貴重だ。私は腰の道具袋に種をしまった。
そして今度は右側の宝箱だ。宝箱に近づく。
いつでも攻撃に移れるよう、剣は抜き身のままだ。そして宝箱の側までやってきた。
「・・・・・・・」
よく見ると宝箱の周りに、たくさんの血のあと、そして・・・・原形をほとんどとどめていない人間の骨らしきものがあった。
私がそれを確認してから、すぐに攻撃に移れるようにして宝箱に近づいた。近づくと宝箱が鋭い牙をむき出しにして襲い掛かってきた。
第327話 ミミック
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