【第398話】 バルログ戦2
ライオン型モンスターを退けたら今度は人型モンスターが襲ってきた。外見は人に似ているが、体に大きな翼を持っていることから悪魔系に属するモンスターだろう。攻撃を受ける前に二匹のモンスターを切り伏せたが背中に冷たいものを感じた。
降りかえった瞬間、私は大きな闇に飲みこまれ体温が急激に奪われていった。
寒い…
何故こんなに体が寒いの…
回りは何も見えない。永遠の闇。
しかしその闇に一点の光が見えた。その光に向かって走る私。
すると…目の前は死体の山が置かれていた。
ここは…テドンだ。私はかつて、ここで殺された人達のお墓をつくり泣いたことを思いだした。
そして死をイメージした映像が次々と移しだされた。不死鳥ラーミアで巫女の死竜の女王との話、メルキド大戦でヒドラに食べられる傭兵達ルビスの塔で戦いを挑んだが無残に殺される冒険者
私が過去にあった死がいくつも頭の中で浮かびあがりその恐怖心を受けつける。
血の臭い、うめき声、肉体的な苦痛ではない精神的な耐え難い苦痛が私を覆った精神を崩壊させようとする。
どうしよもない絶望感、そして逃げたいという感情、そして、そこへの唯一の逃げる道を示される、声の主
”苦痛を逃れたいか?”
”その苦痛から逃れる方法は1つ”
”それは、死だ”
”死こそが安楽なのだ”
”死を手に入れることで、時という歯車を越え、
永遠に意識を手に入れることができるのだ。
さぁ、死を認めるのだ”
私はその言葉を聞き、逃げたいという気持ちと共に以前どこかでこの言葉を聞いたと考える自分がいた。
これは…魔王の影が魔法のときと同じ感じ…
私はその瞬間、これが呪文の影響と知り恐怖とその闇に対抗するため体の魔法力を高める。
「二度も…同じ手に…かかるものか!!!!!」
私は闇に飲みこまれないよう気合の声を張り上げた。そして見えない声の主に、思いっきり手に持っていた王者の剣を突き刺した。剣が闇の中に吸い込まれる。
手ごたえがあった。
辺りの光景が崩れ、元いた場所に戻る。目の前には剣で貫かれた先ほどと同じモンスターが絶命していた。
第399話 床トラップ
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