【第80話】

権力


この街に着いたのは夜のことだった。

最初、この街のあまりの大きさに驚いていたが、

町中を歩くと、ちょっと変わったことに気が付いた。

雰囲気が良くないのだ。


「はぁ・・・・・・・・・・」


ムーンを探しているのだが、あまりにこの街は大きい。

それで、酒場に行き、情報を集めようと、建物の中に入ったのだが・・・・・・・




「おっと、お代を払ってもらおうか?」


「あ、はい。いくらですか?」


「10万ゴールドだ」


「・・・・・・はぁ?

 もう一回言っていただけますか?」


「だから、10万ゴールドだ。

 もちろん、金がないんなら、他の物で払ってもらっても良いがね。

 へへへ・・・・・」


「・・・・・・・・・ふざけているんなら、よしてちょうだい。

 怪我をしても知らないわよ」


もちろん、誰と闘っても負ける気はしないが、

できるだけ、人間相手に闘いたくはない。

だから、すごみをきかせて言ったつもりだったのだが。


「なんだってぇ?」


どうやら、逆に相手の怒りを買ってしまったようだ。

闘うか、逃げるか・・・・・・・・・


「ムーンを探しに来ただけなのに、何でこんな目にあうのやら・・・・・・」


と、うんざりとして、つぶやいた。

それを聞いて


「えっ!?

 ムーン様のお知り合いの方ですか?

 これは失礼いたしました!!!

 いえ、お代はいりません!

 本当に申し訳有りませんでした!」


この変わりよう。

ムーンって、この街では、絶対の権力を持っているみたい。


第81話 豪邸

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