エクスクルーシブ講座 5項

 

まず最初に 5項の課題も前項とほぼ同じところにあります
前回は良く使うエクスクルーシブとして 基本的なものを挙げて行きましたが
今回は基本的であり かなり重要なものを解説していきたいと思っています
これから説明するエクスクルーシブ達は 是非使って欲しいと言うものばかりです

5項の課題は 使えるエクスクルーシブ「リバーブ・マクロ」の意味を知ろう☆
です
…では行きましょう



◆ リバーブ・マクロ

…2・3項で例に使ったエクスクルーシブです…が 他にもあるので
それらも解説して行きましょう
ちなみにこれらのエクスクルーシブは「システム・エフェクト」と呼ばれています



◆ リバーブ・タイプ(8種類まで選択可能)

リバーブは音響や残響の意味ということは当たり前ですが
この「リバーブ・タイプ」というものは
「そのMIDIデータの曲に対して どんな環境で演奏されているのか…」を
設定するエクスクルーシブです


◇ エクスクルーシブの書き方

アドレス「40h 01h 30h」で データ「??h(各プリセット番号)」です


※ 各プリセット番号の名称と意味

Room
00h 「Room1」
01h 「Room2」
02h 「Room3」
室内での音響を再現したリバーブです
切れがよく広がりのある残響が得られる設定です
3種類ありますが 空間の広さなどの違いがあります
Hall
03h 「Hall1」
04h 「Hall2」
コンサートやスタジアムなどのホールを再現したリバーブです
「Room1~3」よりも奥行き感のある音響になっています
GSリセット受信時は 標準で「04h … Hall2」に設定されています
Plate
05h 「Plate」 プレート・エコー(金属板の振動を利用したリバーブ)を再現しています
残響の音が 「Room」や「Hall」とは違っています
奥行き・空間の広さがあまり無いように聞こえます
Delay
06h 「Delay」   一般的なディレイを再現しています
自然なやまびこ効果を得ることが出来ます
Panning Delay
07h 「Panning Delay」  ディレイ音が左右に飛び交う特殊なディレイです
オーディオをステレオで接続しているときに有効です
普段は使わないタイプです



◆ リバーブ・キャラクター(「リバーブ・タイプ」と同じく8種類まで選択可能)

「リバーブ・タイプ」はプリセットされている音響を8種類のうちから選ぶものですが
「リバーブ・キャラクター」というものは リバーブのアルゴリズムを設定するものです

つまり 「リバーブ・タイプ」で音響の環境を選び 「リバーブ・キャラクター」で
音響のキャラクタ(表情・音響の種類)を選ぶ…ということです


このエクスクルーシブを含む 以下に説明するリバーブ・マクロ群は
入力することで8種類の各演奏場所を更に細かく設定することが出来ます
通常は「リバーブ・タイプ」を設定してから 気にいらない個所だけを
このエクスクルーシブを含む以下のリバーブ・マクロ群で調整します
(そのほうが無駄が省けます)


◇ エクスクルーシブの書き方

アドレス「40h 01h 31h」で データ「??h(各番号)」です


※ 各アルゴリズムの名称と意味

…と言っても基本的に「リバーブ・タイプ」と同じ8種類なので
上の「リバーブ・タイプのプリセット値」を参照してください



◆ リバーブ・プリ・ローパス・フィルター(最小値:00h~最大値:07h)

これは リバーブに変換される音(つまり残響の元)にローパス・フィルターをかけて
高い周波数成分を減衰させるレベルを設定するエクスクルーシブです
値を大きくするほど高域成分が減衰されるので リバーブ音(残響音)に丸みができます


◇ エクスクルーシブの書き方

アドレス「40h 01h 32h」で データ「??h(00h~07h)」です


※ ローパス・フィルターについて

「ローパス・フィルター」というのは
その言葉通り 「ロー(低音)・パス(通す)・フィルター(膜)」ということです
つまり 「低音を通す膜」っていう意味です
この「リバーブ・プリ・ローパス・フィルター」は これをどの程度使うか
と言った感じですね☆



◆ リバーブ・レベル(最小値:00h~最大値:7Fh)

これはリバーブ音(残響音)の音量を調節するエクスクルーシブです
数値を大きくするほどリバーブ音が大きい音量で返ってくるようになります


◇ エクスクルーシブの書き方

アドレス「40h 01h 33h」で データ「??h(00h~7Fh)」です


※ 備考

標準で設定されている初期値は 「40h」です
いわゆる原音のベロシティ(弾く音量)が これに当たると思います
つまり リバーブ音のベロシティ(音量)ということですね

最大の「7Fh」に設定すると 原音と同じ音量の残響音が
返ってくると言うことです


◆ リバーブ・タイム(最小値:00h~最大値7Fh)

これは リバーブ音の長さを調節するエクスクルーシブです
これを設定することによって 楽器の音響(響き具合)を演出することが出来ます
数値を大きくするほど響き具合が増し リバーブ音が長く残響するようになります


◇ エクスクルーシブの書き方

アドレス「40h 01h 34h」で データ「??h(00h~7Fh)」です


※ 備考

これも標準で設定されている初期値は 「40h」です
あまり大きく設定しすぎると大変な音響になってしまいます
俗に言われるリバーブ風呂とかです



◆ リバーブ・ディレイ・フィードバック(最小値:00h~最大値:7Fh)

ディレイの繰り返しの度合いを設定するエクスクルーシブです
これは「リバーブ・タイプ」と「リバーブ・キャラクター」が 「6(Delay),7(Panning Delay)」に
設定されている場合にのみ 有効にされるパラメータです
値を大きくするほどディレイ音の繰り返しが多くなります


◇ エクスクルーシブの書き方

アドレス「40h 01h 35h」で データ「??h(00h~7Fh)」です


※ 備考と注意

ディレイという名前が出てきましたが 「CC#94のディレイ・センド・レベル」の
数値を変更しても この「リバーブ・マクロ」には影響はありません
リバーブとディレイは別のものと言うことを忘れないようにしてください



◆ リバーブ・センド・レベル・トゥ・コーラス(最小値:00h~最大値:7Fh)

リバーブ音をコーラスへ入力するレベルを設定するエクスクルーシブです
値を大きくするほど入力するレベルも大きくなり リバーブ音にコーラスがかかる量が大きくなります

このエクスクルーシブは 「Roland SC-55mk2」という音源専用です

私も 88や88PROで使ってみましたが動作していませんでした
…88以上ユーザーには関係のないエクスクルーシブといえるでしょう


◇ エクスクルーシブの書き方

アドレス「40h 01h 36h」で データ「??h(00h~7Fh)」です


※ 備考と注意

コーラスという名前が出てきていますが 「CC#93のコーラス・センド・レベル」の
数値を変更しても この「リバーブ・マクロ」には影響はありません



◆ リバーブ・プリ・ディレイ・タイム(最小値00h ms~最大値7Fh ms)

原音が出てから リバーブ音が出るまでの遅延時間(ディレイ・タイム)を設定します
値を大きくするほど 遅延時間(ディレイ・タイム)が長くなり 演奏空間の広さを感じます
ディレイという名前がついていますが これは先の「リバーブ・ディレイ・フィードバック」
と違って 「リバーブ・タイプ」と「リバーブ・キャラクター」が「6(Delay),7(Panning Delay)」に
設定されていなくても有効です


◇ エクスクルーシブの書き方

アドレス「40h 01h 37h」で データ「??h(00h~7Fh)」です


※ 備考と注意

88,88PRO専用のエクスクルーシブです

しかし システムモードセットの 「MODE-2(ダブル・モジュール・モード)」では
入力していても無効扱いになります
0ms~127msまでというのは 0.0秒~0.127秒までという意味です
…ディレイという名前が出てきましたが 「CC#94のディレイ・センド・レベル」の
数値を変更しても この「リバーブ・マクロ」には影響はありません



◆ その他

一応 音源の説明書にも記載されていますが
「リバーブ・タイプ」の各プリセット値も書いておきます
これについては
『リバーブ・タイプをHall1で リバーブ・タイムを設定したいけど元の値っていくらなんだろ!?』
という方のためのものです 気にしない人は見なくても構わないです


◇ 「リバーブ・タイプ」のプリセット値について

  Room1 Room2 Room3 Hall1 Hall2 Plate Delay PanDelay
RevLevel 64(40h) 64(40h) 64(40h) 64(40h) 64(40h) 64(40h) 64(40h) 64(40h)
RevCharacter 0(00h) 1(01h) 2(02h) 3(03h) 4(04h) 5(05h) 6(06h) 7(07h)
RevPre-LPF 3(03h) 4(04h) 0(00h) 4(04h) 0(00h) 0 0 0
RevTime 80(50h) 56(37h) 64(40h) 72(48h) 64(40h) 88(58h) 32(20h) 64(40h)
RevDly Fb 0 0 0 0 0 0 40(28h) 32(20h)
RevPreDlyTime 0 0 0 0 0 0 0 0

 



◆ 「リバーブ・マクロ」についてのまとめ

これらの「リバーブ・マクロ」の設定はエクスクルーシブを書くだけでは
その能力を発揮しません

これらをMIDIデータ中に記述した後 各パート毎に「CC#91のリバーブ・センド・レベル」を
設定してやる必要があります(いつも何気なく使っているリバーブの設定です)

「CC#91のリバーブ・センド・レベル」の値によって 「リバーブ・マクロ」の効果が現れる
ということを忘れないようにしましょう


あと 「システム・エフェクト」のリバーブは 残響音がステレオで構成されていない為
リバーブ音はすべてパンポットの中心に返ってくるようになります
「リバーブ・タイプ」を「Panning Delay」にした場合のみ 残響音はステレオで返りますが
調整が難しいので普通は使いません

(残響音のパンポット位置の指定が出来なかったり 下手をすると唸りまくる音響になります)

もし 残響音をステレオで返したい場合は 88Pro以降に備わっている
「インサーション・エフェクト」というエクスクルーシブを使えば可能です
「インサーション・エフェクト」については また機会があれば書かせていただきます


…ということで 基本的な使い方や意味などは理解できたでしょうか!?
この「リバーブ・マクロ」の設定はMIDIを作る上で たいへん重要なものです
たとえばゲームミュージックなどではホールなどで演奏されているものなんて
ほとんどない(たまにはあるかもしれないですが)のですし
オーケストラなどはそれなりに音響を設定してやる必要が多くあるのです

MIDIというものは 作ったそのままでも「ある程度」聴けますが これを設定してやるだけで
臨場感がぐっと引き立ちます

ただし「リバーブ」の多用は そのデータを台無しにする「諸刃の剣」でもありますので
節度ある使い方を身につけるようにしましょう



…と ここまでで今回は終了です

次回は同じく「システム・エフェクト」の「コーラス・マクロ」を解説していきたいと思います
私自身「コーラス」をあまり使わないようになりましたので 巧く説明できないかもしれませんが
効果的に使うと よりすばらしいMIDIが出来るエフェクトであるので ぜひ読みましょう
では第6項にいきましょう☆


第4項   第6項

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