あとがき
この「ホイミン物語」を執筆するきっかけは本当に些細でした。和樹さんのホームページにある掲示板で、「ホイミンってライアンと別れた後どうなったんだろう、気になる。書いちゃえ」なんてことを軽率にも書き込んでしまい、その場のみなさまに「がんばって~」と言われてしまいました。退くに退けなくなって執筆を決意したのです。
当初は一話完結にするつもりでした。ただ、当時(現在もですが)心理学、特に臨床心理学に興味を持っていましたし、関係する本も何冊か読んでいました。そして「心」についてなどを色々と考えていました。だから、ホイミンが人に成る課程に於いて肉体的変化だけでなく心も変化するということを用いることによって、自分の「心」に対する考えを表現しようと思いました。そう思って書き始めたら、とても一話完結では無理だと悟りました。また他の小説(どらくえ1「勇者ゆいちの道中記」及び2「勇者3人珍道中」)と毛色が違うのも、この2つはノリで書いていたからです(もっとも前後関係やらは考えて執筆しましたが)。
執筆中にも本は読み続けました。そして、次の話を書くたびに、前との矛盾がなく且つ新たに仕入れた、自分なりに砕いた概念を組み込もうとしました。しかも一話完結を謳っていた手前、なるべくコンパクトに纏めよることに努めました。だから論理の矛盾なども多々あるかとは思います。だから「心」などについての異議や意見のある方、論理的矛盾を見つけた方は遠慮なくメールを出していただきたいです。私も此処に書いたことが絶対だとは思っていませんし、また時が経てば考え方も変わるでしょうし。みなさまの考えも知りたいです。
明朝体(黒字体)ではかなり難しい言葉を意識的に使うよう努力しました。その為に広辞苑と漢和辞典は手放せませんでした。なぜか。確たる理由はありません。ただ、その時に読んでいた一冊に「ジーキル博士とハイド氏:田中西二郎訳(新潮文庫)」があって、この文体が極めて難しかった。以前から自分の語彙力のなさを痛感してはいたので(だから最近はよく本を読みながら解らない言葉や漢字が出てくるたびに辞書を引いている)、この一冊が契機となり、敢えて難しい言葉にすることによって自らの語彙を増やそうと思ったからかもしれません。間違った使い方があったらご指摘ください。
BGM(まどろみ)ですが、これはSFC版どらくえ3「まどろみの中で」が原曲です。SFCでの性格判断場面が丁度ルビスとホイミンが対話している光景として自分の中で捉えられたので、あの曲をモチーフに編曲を試みました(もっとも大したことはないですが)。
少々長くなってしまいました。ここまでつきあってくださった読者に感謝いたします。願わくば、どらくえ1・2及びこれから執筆する小説にもおつきあいいただければ幸いです。最後に私が執筆する前後で読んだ本、そして読み中(中断しているものも含めて)、これから読む予定の本(一部)を紹介して終わろうと思います。
既読本
タイトル | 著者名 | 出版社 |
やさしさの精神病理 | 大平 健 | 岩波新書 |
人間性の心理学 | 宮城音弥 | 岩波新書 |
疲労とつきあう | 飯島裕一 | 岩波新書 |
ユングと心理療法 | 河合隼雄 | 講談社+α文庫 |
日本人と心理療法 | 河合隼雄 | 講談社+α文庫 |
科学と哲学 | 柳瀬睦男 | 岩波新書 |
風の歌を聴け | 村上春樹 | 講談社文庫 |
時間の不思議 | 都築卓司 | BLUE BACKS |
ジーキル博士とハイド氏 | スティーヴンソン:田中西二郎訳 | 新潮文庫 |
エヴァンゲリオン用語辞典 | エヴァ用語辞典編纂曲 | 八幡書店 |
読中及中断本(上)・未読本(下)
タイトル | 著者名 | 出版社 |
日本人とアイデンティティー | 河合隼雄 | 講談社+α文庫 |
働きざかりの心理学 | 河合隼雄 | 新潮文庫 |
アポトーシスの科学 | 山田 武 大山ハルミ | BLUE BACKS |
獏の食べのこし | 中島らも | 集英社文庫 |
生命を捉えなおす | 清水 博 | 岩波新書 |
ギリシア神話 | 串田孫一 | ちくま文庫 |
心病める人たち | 石川信義 | 岩波新書 |
コンプレックス | 河合隼雄 | 岩波新書 |
超ひも理論と「影の世界」 | 広瀬立成 | BLUE BACKS |
豊かさの精神病理 | 大平 健 | 岩波新書 |
ギリシア神話 | 高津春繁 | 岩波新書 |
中国人の発想 80の知恵 | 守屋 洋 | PHP文庫 |
他 |
追記
今回はこのファイルを圧縮版作成、及び誤字脱字修正を行いました。
上記の未読本はあらかた読み終えています。そして、この文章をもう一度読み返してみましたが、今でも「心」に対する考え方は変わっていないことがわかりました。もちろんこれで満足をしたりせず、これからも本を読み続けていこうと思っています。そして新たに感じたことを別の小説として執筆するかもしれません。その時にはまた是非おつきあいください。
2000/01/22 くみちょ拝