八月十九日

  今日は野宿をしている。むこうのほうに海峡が見えるが、見覚えがあるような気 がする。
橋がかかっているが、これがオラクルベリーで聞いたものだろう。十年前にでき たとか。
二人とも少し無口になってきている。

このあたりの魔物はそう強くないからいいが、念のためたき火は絶やさないよう にしておく。僕は父さんとの経験があるが、ヘンリーは野宿は初めてだ。
まあ、馬車の中はあそこよりはましだし、暖もとれるので心配はないだろう。


早起きすれば、一日でラインハットにつけるかもしれない。ヘンリーを送り届け たら、サンタローズに帰ろう。

八月二十日

  おもっても見なかったが、関所で止められてしまった。許可証が無いのと、あま りにみすぼらしいので、追い返されてしまった。ヘンリーはショックを受けてい たが、予想していたのかもしれない。今は思ったより落ち着いている。
サンタローズに行く途中で夜になった。今は小休止している。これから強行軍で 進むか、ここで夜を明かすか決める。

あたりは懐かしい風景だ。とはいえ、ここには6歳の頃のたった数日間の思い出 しかない。
父さんと旅に出る前は幼すぎてよく覚えてないからだ。


これからサンタローズへ向かう。








サンタローズは廃虚になっていた。あの事件の責任が父さんのせいという事にな って、ここが焼き討ちされたらしい。あのとき僕が城へ戻っていたら、、、と思 う。もうとり返しはつかないが、悲しい。
何人かはまだ残っていたけれど、再建の見込みはいまだに無い。アルパカに行っ た人もいるようだ。

以前洞窟で父さんの舟を見掛けたと書いたけれど、それと関連するのだろうか、 父さんの知り合いというおじいさんが、洞窟について話をしてくれた。明日行く。
教会も残っていて、冒険の書を記入してもらいに行ってきた。僕の記録がすべて あの中に封じられていると思うと複雑な気がする。


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