海岸沿いの平地を半日飛ばしてくると、洞窟が見える。会議での話からして、こ こが本拠地に違いない。今は夕刻で小休止中。思い切って突入するかどうしよう か考えあぐねている。ピエールは行こうと言っている。
今洞窟から帰ってきた。中は思ったより広い。迷って体力が尽きる前に出てきた。
二階までの簡単な地図を書いたので、明日はさらに奥へ進む。
チロルは父さんの剣を守ってここに住み着いていたらしい。ラインハットからど
うやってここまで来たのかは分からないけれど、何しろ十数年だ。よく無事だっ
たと思う。
父さんの形見の剣を手に入れた。見覚えのある紋章、がっしりしたかたち。なつ
かしい。
これからカボチへ戻る。
チロルをつれて行ったのは失敗だった。みんな僕のことを、化け物とグルだった
と思っている。もっとつらいのは、怒りをあらわにされることじゃなくて、「金
は約束どおり払ってやるからでてってくれ」といわれたことだった。
ただ、何人か僕のことを信じてくれる人がいるのが救いだ。
明日の朝早くここを発とうと思う。