【第16話】
闇市
リュックとロマリアに忍び込む手はずを確認したあと、
リュックと別れた俺は宿屋に戻り
夜忍びこむための準備をしようとした。
だが・・・・
気になる。
さっきから、何かが気になる。
俺は後ろを振りかえった。
誰もいなかった。
俺は宿に戻る最中、やはり人の視線を感じたような気がした。
俺が必要以上に気にしすぎているのか。
しかしロマリアに俺達のことを知っている奴がいるとは思えないし、
まだ俺達はこの街で何もしてない。
人につけられるようなことはしてないはずだが・・・
気になった俺は、駆け足で街をジグザグに走り宿に戻った。
「チッ・・・・」
もし誰にもつけられていなかったら
一人でこんなことをやってバカみたいだ。
だが、用心には越したことはない。
気を取り直して俺は部屋に入ると、俺は道具袋から眠り草を出してすりつぶしはじめた。
眠り草は、すでに乾燥しているため、草をすりつぶすと粉末になる。
この粉末を吸ったものは、猛烈な眠気に襲われるというやつだ。
布をマスク代わりにしていれば、自分で吸うことはない。
草をすりつぶし終わったころ、リュックが戻ってきた。
「どうだった?」
「いいもの買って来たよ」
そう言ってリュックが差し出したのは一つの箱と袋を差し出した。
まず箱のほうを開けてみた。
すると、いろいろな小道具が入っていた。
「これ・・・・盗賊の七つ道具じゃねぇか?」
「うん、闇市に出まわっていたよ」
さすがリュックだ。
普通の道具屋には売っていないアイテムを探すには闇市に限る。
だが、裏でしか売ってないからヤバイものも多い。
だから取締りが行われ、一般のものが見ることはなかなかできない。
リュックはどうやって闇市の場所を付きとめたのかわからないが、
ロマリアで、闇市がやっているところを見つけ、そこで仕入れてきたのだ。
「よく見つけたな」
俺は感心して、盗賊の七つ道具をあけて見ていた。
実際には、七つよりもっと道具が入っているのだが、
盗賊が、扉をあけたり、ワナを解除したりするための道具が
コンパクトに入っている。
もちろん、この道具を使うには特殊な技能が必要だが、
俺は、普段から盗賊に似ているようなことをやっていたこともあったので
身の回りの道具を駆使して、鍵開けや、ワナ解除などをしていた。
「ルーニだったら、きっとこれ、使いこなせるでしょ?
後、こっちの袋のほうは気を付けて扱ってね」
そんなことをリュックが言ったので、今度は袋の方に興味がいった。
「消え去り草の粉末だよ」
「売ってたのか!?」
「あぁ、こっちも闇市に出まわっていたよ。
700Gもしたけれど」
「700!?」
700Gといえば、ロマリアの武器屋で一番上の値段として飾られていた
鉄の槍が買える値段だ。俺はあまりの高さに値段で驚いた。
「あと、1袋しかなかったんだ。
高かったけれど、貴重だし、本当にやばくなったときに使えると思って」
「まぁ、命にはかえられんからなぁ・・・」
消え去り草があれば、仕事はぐっとやりやすくなるだろうが、
ぼったくりじゃないかとも思える値段に、俺は少々戸惑った。
まぁ、買っちまったものは、しかたねぇか。
「じゃぁ、これで用意は万端だな」
「うん、じゃぁ、今夜決行だね」
第17話 第一関門
前ページ:第15話 「ロマリア城」に戻ります
目次に戻ります
ドラゴンクエスト 小説 パステル・ミディリンのTopに戻ります