【第15話】
ロマリア城
バンパイアをリュックのイオで撃退し、
途中何度も魔物が襲ってきたが俺達は無事ロマリアの町につくことができた。ロマリアの町で宿屋に入るとき、誰かの視線を感じたのだが、リュック自身は気づかなかったようだし気のせいなのかもしれない。
宿をとって場所を確保した俺達はまずロマリア城に行った。
「これが、お城かぁ・・・・・・」
リュックは初めて見る城を見上げて感動をしている。
「リュック、感動している場合じゃないぞ。
俺達は今日”仕事”で来てるんだ」
宮廷魔術師になりたかったリュックが城にあこがれる気持ちはわかるし、そんなことに付き合わせている俺が悪い。
しかし冷たいことを言うようだが、俺達は遊びや観光でロマリアに来たわけじゃない。これから命をかけて盗まなきゃいけないブツがある。
「うん、わかったよ」
リュックは輝かしていた目が悲しそうな目をしたがそれも一瞬のことで俺は気が付かなかった。
「警備が硬そうだな。
兵隊の数が半端じゃねぇ」
俺は小声でリュックにささやいた。
「そりゃそうだよ。
お城だもん。これは容易じゃないね。
どうする?」
「当然、夜を狙う」
「だよね。でも、金の冠はいったいどこにあるんだろね」
「一応、雇い主から基本的な情報は聞いてある。
内部の地図もある。
ロマリアの城には、王の間があるところを中心に
4つの塔があるらしい。
そのうちの北西の塔が、宝物庫になっているそうだ」
「夜の警備はどれだけ硬いんだろうね」
「さぁ、それはわからんな。
だが、ロマリアは世界の国の中でもかなり大きい。
治安もしっかりしているし、夜になっても
警備がそれほど薄くなるとは思えないな」
「同感」
「正門からは無理だな。
壁をよじ登って二階から進入するか?」
「ラリホーが使えたら、兵士を眠らせたんだけれどね」
「おまえは僧侶じゃないからな。
というか、僧侶で賊をやっているやつはきいたことねぇが」
「やっぱり、よじ登るしかないか・・・・」
リュックは大きなため息をついた。
「一応、同じ効果がある、ねむり草は
ノアニールに行商に来ていた商人から2個買って来た。
あの商人、ぼったくりやがって。1つ300Gもとりやがんの」
「いや、そのくらいきっとするよ。
ランシール産の姿を消す消え去り草なんか、
500Gするって聞いたことあるよ。そのくらいするからね」
「500Gあったら、1ヶ月は暮らせるじゃねぇか。
いったいどんな奴がそんなもの買うんだ」
「うちらと同じことやっている人じゃないの?」
「違いねぇや。
まぁ、そこでかかった金は、80000Gの前金とは別に
必要経費として請求して、もうもらっているからな」
「ちゃっかりしているなぁ」
リュックは笑った。
「気前のいい雇い主だったからな。
こっちは国宝を盗むんだ。
そんくらい払ってもらわなきゃ割にあわねぇよ。
それにしても城の中に入っている兵士はできるだけ、これは使いたくないな」
「そうだね、この地図を見る限り
塔の最上階に行った後、
一本の通路があるだけだ。
ここに門番の一人や二人はいるだろうし
ここでの戦いだけは免れないものね」
「あぁ、そうだな。そこで最低でも1個は使うことになるだろ。
じゃぁ手はずはそんな感じだ。
一応ロープなど必要な道具はそろえてきたつもりだが、
リュックはロマリアの街で道具屋に行き、
もし必要なものでもあれば買いこんどいてくれ。
俺は夜まで眠り草をすりつぶし使えるようにしておく」
「了解、じゃぁ、後で宿で落ちあおう」
第16話 闇市
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