【第35話】
リュックとの戦い2
闘技場決勝で、リュックとの戦い。
自分の心がワクワクしていることに気がついた。強い奴と戦うのが楽しいのだ。主審が合図をしたと同時に俺はリュックとの間合いを詰めようとした。その瞬間、爆風が起き、砂煙で俺の視界はふさがれた。
「チッ・・・」
俺は砂が目に入らないように盾をかざした。イオだ。いきなり最強魔法をぶつけてきやがった。リュックは本気で相手をすると言っているようなものだ。イオの直撃をあえて与えなかったのはもしくらっていたら俺の命も危なかったからだろうが威嚇の為にも使ったのだろう。なめた真似しやがって。
爆風で巻き上がった砂煙は俺の視界を隠すのに十分だった。
瞬間、右前方から土を蹴る音が聞こえた。俺は条件反射で右上に盾をかざした。
ほぼ同時に剣と盾が激しくなる音が聞こえる。リュックが砂煙の中、ジャンプして全体重を乗せた剣で攻撃をしかけてきたのだ。それを偶然盾で受け止めることができた。
しかし不十分な体制で盾で受け止めたため全体重を乗せたリュックの攻撃をしのぎきれず俺は片足をついてしまった。
俺はリュックに二度目の攻撃をさせないため、姿は見えないが、砂煙の中に剣を振るった。また、激しい金属音が鳴り響く。
今度はリュックが俺の攻撃を盾で受け止めたようだ。片膝をつきながらの攻撃では力がでなかったため、リュックの盾で防がれたが、連続攻撃は防げた。
剣を払った格好のまま、俺は膝をついている足を軸足として回し蹴りを放った。リュックはその蹴りを避けるため、距離をとった。そのため直前まで盾にリュックの全体重を感じていたが重みがふっと消えた。
重みが消えた瞬間、俺はついている膝をバネのようにして立ち上がりリュックとの間をつめる。俺達二人は、巻き上がっているイオの砂煙から出てきた。
リュックは盾を捨て、連続でメラを放ってきた。俺はそのメラをよけながら、リュックとの距離をつめる。
「オォ!!!!!」
観客から地鳴りのような歓声がわく。
生まれつきの動体視力と勘の良さ、過去の経験が俺を魔法の攻撃から交わすまで戦士として成長させていた。
リュックはさらに魔法を放ち続けたが既に俺の剣が届く間合いになっていた。
「ヤアァァァ!!!」
俺は気合の声を上げ剣を横に思いっきり払い、必殺の一撃を繰り出した。
リュックはその攻撃を受け止めようとしたが俺の全力の攻撃を受け止めることができず剣は遠くに弾き飛ばされた。
第36話 別れの予感
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