【第34話】
リュックとの戦い
決勝まで勝ち残った俺とリュック。
手加減無しを誓い、俺とリュックは闘技場の真ん中に立った。戦いの勝利者は一人である。
千人以上の人間が俺とリュックに注目している。心地よかった。
決して今まで誉められたことをしてきたわけでない。孤児院でもゴミのような生活をしてきた。誰からも必要とされていなかった。
しかし世間の奴等は今、俺達の力に注目しているのだ。それが心地よかった。
主審の合図を待つ。目の前には、少し離れてリュックが剣と盾を構えている。剣だけの勝負であれば、俺が勝利する。リュックが俺に勝つには魔法を使うしかない。
先ほどからリュックの戦い方を見ていると魔法のメラを直接当てるか、もしくは盾で防御させて、その隙に横からの攻撃を加えるという戦い方をしている。
兵士の見習いには、対魔法での戦いを想定して訓練をしている奴はいないだろうから今まで通用してきただろうがな。
孤児院から一緒だったリュックの攻撃パターンを俺はよく知っている。
そしてリュックも俺がそのことを読んでいることくらい知っているだろう。リュックは頭脳派だから、俺が考え付かない技で奇襲してくるに違いない。どんな手で来るか?
リュックと対面してワクワクしている自分に気がついた。強い奴と戦うのが楽しい、そう思う。老人カンダタと会いたいという感情もだからこそ湧き上がるのだろう。
最初は様子見をするべきか、それともリュックに言ったとおり一気にけりをつけるか?
・・・・・一気に勝負だ。魔法使い相手に、距離をあけたら一方的な攻撃をうける。それならリュックに悪いが魔法を使う前に倒すしかない。
距離を詰めるまでに、一撃は魔法攻撃を受けるかもしれないが、二撃目は唱えさせることもなく、終わらせてやる。
観衆の見習い兵士達も、主審の合図をまっている。あたりは沈黙が支配している。
・・・・・・・もうすぐだ・・・・もうすぐ始まる。
「はじめ!!!!」
主審の合図があったと同時に俺は距離を詰めようとした。その瞬間目の前で爆風が起き、砂煙が起きて俺の視界をふさいだ。
第35話 リュックとの戦い2
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