【第46話】

親友との別れ


俺は世界を知りたいため老人カンダタの元に残るという

選択をした。


リュックは盗賊団にはやはりなれないということ、

宮廷魔術師の夢を追うためにロマリアに戻るという選択をした。




「ルーニ。

 ボクは君に感謝している。

 君がいなければ、孤児院からの生活を出ても生きる力を得られなかった。

 そして、宮廷魔術師の夢に近づけることもなかった。


 ここまで来れたのは君のおかげだ」


「何を言ってる。

 おまえはもう一人前だ。

 ここまでやっていけたのはおまえの実力と努力があったからだ」


「いつもそうやってボクを元気付けてくれたね。

 その言葉に何度助けられたことか…


 ボクは君を親友と思っている。

 君にはもしかしたら、お荷物に思われていたかもしれないけれど。


 でも君が困ったらいつでも訪れて欲しい。

 何か力になれることがあるかもしれない」


「俺の方こそ、おまえを無二の親友と思っているさ。

 ちくしょう、こんなことを言うのは照れるぜ。

 だが、しばらくのお別れだ。

 しっかりと言っとかないとな。

 俺の方こそ、おまえがいなかったら孤児院から出られることもなかったし

 ノアニールに行ったとしても生き延びることができなかったかもしれない。

 感謝しているぜ」


「いいのお。

 実にいいのぉ」


突然じいさんが俺達の会話に割り込んできた。


「若い友情はいいの。

 感動したわい。

 リュック君、ルーニ君はしっかりと預からせてもらうから

 心配は無用じゃ。

 そして君なら立派な宮廷魔術師になれるじゃろうて。

 がんばるのじゃぞ」


特にじいさんは俺達のことを茶化した様子はなく、

本当に感動したようだった。


「はい。ルーニをよろしくお願いします。

 あと、盗みは…ほどほどに」


俺とじいさんは思わず笑ってしまった。


「あと、じいさんよ。

 これからはあんたの部下になるんだな。

 俺は誰かの下に従属されるというのはキライだ。

 だが、あんたの実力も多少はわかっているつもりだ。

 しかしもう一度お手あわせを願い出たい。


 俺はロマリアで正式に剣術や武術を学んだ。

 あんたとの差は狭まったのか、それとも広がったのか

 それを確かめさせて欲しい。

 それが俺がここに入るための条件だ」


「わかったわい。

 しかし、老骨には堪えるの」


今度はリュックが笑った。


「ではボクはロマリアに戻るよ。

 ここにはロマリア王とのルートがあるようだから

 もし何かあったら、王の方に情報をおくってほしい」


「わかった。がんばれよ」


「そっちもね。

 では、ボクは失礼します」


じいさんにお辞儀をして、リュックは部屋を退出した。


第47話 余裕

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