【第47話】
余裕
リュックと別れた俺はこのシャンパーニの塔に残ることにした。
物心ついた頃から一緒にいた俺達が別れるというのは確かに寂しい。だが、ヤツには夢がある。王城で宮廷魔術師の夢を叶えて欲しい。シャンパーニの塔では俺とじいさんが残された。
「さてと・・・・・ではどうするかの」
「俺から質問したいことはほとんど終わった。
後はあんたとの実力を差を知りたい」
俺はこの三年間で老人は復讐の対象であり、目標でもあった。
「若いのぉ。
血気盛んなところは良いが、それが仇にならなければよいがの」
そういって、じいさんは立ちあがった。
「着いてきなされ」
俺もじいさんの後に続く。部屋を出ると、見張りが何やら退屈げに座っていたがじいさんを見るなりに立ちあがった。
「どうしました、お頭?」
「こやつを仲間に入れようと思っていたのだが
ワシの力を見極めたいと言ってな。
ワシが勝ったら、仲間になるそうじゃ」
「お頭相手に勝負?
それは無茶ってもんだ。
坊主、怪我するからやめておきな」
俺は何も言わなかった。じいさんが強いことはわかっている。ただどれだけの実力が縮んだのか、もしくは開いたのかを知りたいのだ。
「なんだ、人が忠告しているのに無愛想なヤツだな」
「こやつの武器を持ってきてくれ」
さっき塔に入るときに俺は武器を取り上げられたのでそのことだろう。
見張りを通りすぎ、さらに階を降りて塔の三階に行くと少し大きめの広間があり、そこに通された。
「ここで行うぞい」
「あぁ」
そこで待つこと数分、さっきの見張りの男が俺の武器を持ってきて広間に入ってきた。
「親方、持ってきましたぜ」
「ご苦労」
俺は剣と盾を受け取り、少し離れたところに立った。
「では勝負を願おう」
「ふむ・・・・・・・・」
「どうした?」
「何がじゃ?」
「・・・・・・あんたは素手で戦うのか?」
じいさんは見た目は丸腰だった。
「どこからでもかかってきなされ。
お主に本当の戦い方というのを少し見せてやろう」
そう言うとじいさんはニヤリと笑った。
第48話 再戦
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