【第5話】
相棒
孤児院を出るために食料と水を調達した俺たち。
俺は芋を、リュックはパンくずと水を持ってきた。あとは武器だ。外には噂でしか聞いたことがないが魔物というものがいるらしい。俺たちは昼間働いている鍛冶屋に忍び込んだ。
毎日来ているだけあってどこに何があるかはたいていわかった。
「ねぇ、何を持っていこう?」
「そうだな・・・・・・」
あたりを物色してみる。
「これなんかいいんじゃねえのか」
銅の剣が数本並んでいたのを見て適当なのを2本鞘ごと持ってきた。そのうちの1本をリュックに渡す。
「ぼ、ボクも武器持つの?」
「当たり前じゃねぇか。
自分の身は自分で守れ。
これから何が起こるかわからねぇんだから」
そう言って無理矢理リュックに武器を持たせた。
リュックは銅の剣を持とうとするがヨレヨレと歩く。
「だって、重いんだもん・・・・」
「仕方ねぇな・・・・・・」
そういって一本を元に戻し、リュックが持つ別の武器を探してやった。
「じゃぁ、これなんかどうだ」
そういって聖なるナイフを手渡す。
「これなら小振りだしおまえにも扱えるだろ」
「う、うん・・・・ありがと・・・・」
「よし・・・・ここを出るぞ・・・・」
食料と水と武器を手に入れた。
あとは普段使っていた汚い毛布を一枚背負って俺たちはついに孤児院を出ることにした。
「いざ、ここを出るとなると、なんか寂しいね・・・・」
「そうかぁ?」
「うん・・・・・」
「まぁ、確かにそうかもな。
俺たちが今まで生きていけたのも、
ここがあったからだからだし。
しかし、これからは俺たち二人で
生きていかなければいけないんだぞ。
もしかしたら、ここで暮らすことよりも苦しいかもしれない。
引き返すならいまだ。
本当にいいんだな?」
俺はもう一度リュックに確認した。
「う、うん・・・・・
大丈夫。
もうここを出るって決心したから」
「わかった。
じゃぁ、これから一緒にがんばろうぜ、相棒」
”相棒”って俺が言ってやるとリュックはすごくうれしそうな顔をした。
「さて、これからどこに出るかだが・・・・」
俺とリュックは、地図を手にした。一応、ここを出るにあたって地図を拝借してきた。
夜で暗闇だからよく見えないが、月明かりを使って目をこらして地図を見る。
俺たちがいる孤児院は、名もないようなところだ。町どころか、村と呼べるようなものでもなく、孤児院と回りに農家がぽつりぽつりとあるようなところだった。
「今俺たちがいるところが、この場所らしい」
そう言って地図を指差す。
「で、東の方向にしばらく行くと
ノアニールって書いてある。
きっと町かなんかかもしれねぇ」
「ここにまず行くの?」
「そうだな、とりあえずまず俺たちが住める安全な
場所を確保しなければいけないだろ。
町っていうのをそもそも見たことねぇから
どんなのかはよくわからねぇけれど
人がいっぱいいるらしいし、
そういうところに行けばなんとかなるんじゃねぇかな」
「う、うん、わかった」
俺とリュックは物心ついている頃から住んでいた孤児院を後にした。
第6話 アニマルゾンビ
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