【第7話】
勇気
夜道で初めて魔物というものに遭遇した。
逃げることができないと感じた俺は、銅の剣を抜いた。頼りはこの剣一本のみだ。剣を握ったこどなど一度もなかった俺だが俺は運良く魔物を倒した。
「おぉ~い、リュック大丈夫かぁ?」
「う、うん・・・・」
へなへなと座っていたリュックもようやく落ち着いたのか立ち上がり、倒れている俺のほうに駆け寄ってきた。
「ったくよぉ、お前も少しは戦えよ」
「ご、ごめん・・・・」
リュックは本当にすまなそうに謝り顔をうつむけた。
「まぁ、いいや。
とりあえず助かったんだし。
しかしマジでびびったな」
「うん、怖かった・・・・
でもルーニ、すごいね!
あんなに怖そうな魔物、一回で倒しちゃうんだもの」
「ん?
偶然だよ、偶然」
俺も立ち上がって、荷物を拾う。
「こんなところにいたらさっきのやつが
また襲ってくるかもしれねぇ。
とりあえず、安全そうな場所までいくしかねぇようだから
もう少し歩けるか?」
「う、うん・・・・」
「じゃぁ、いくぞ」
俺とリュックはまた歩き出した。
しばらく歩いていたら
「ねぇ、さっきの全然怖くなかったの?」
とリュックが尋ねてきた。
「う~ん、怖いっていえば怖かったかもしれねぇけれど、
そんなこと考えていなかったかもな。
無我夢中でさ」
「そうなんだ。
ルーニはすごいなぁ。
ボクにルーニの少しでも勇気があれば・・・・」
とリュックはまた下をうつむいた。
俺はそのまま無言のまま歩いていたが
「ったくよ、すぐに下うつむくんじゃねぇよ」
と少し怒ったように言った。
ビクっとするリュック。
「あのなぁ・・・
お前だって勇気あると思うぜ。
あの孤児院を抜け出そうと思ったわけなんだから。
俺だって一人じゃ、あそこを抜けるつもりはまったくなかったんだよ。
でも、お前はあそこを抜け出して新しい世界をみたいっていったじゃんか。
そんで今、俺とここにいるんだろ?」
「う、うん・・・・」
リュックが戦わないことに怒ることは簡単だった。しかしそれを言っても意味がないことだしこいつとはこれからずっといることになるかもしれない。それなら少しは元気づけてやろうと思った。
「なかなかできる決断じゃねぇと思うぜ。
自信がなくなったら、
今日のことを思い出せ。
俺たちが、この孤児院を出たときの勇気を思い出せ。
そうすりゃ、なんとかなるってもんだぜ」
リュックは俺の言葉を聴いて少し考えていたようだがそのあと、
「うん!
わかった!」
と元気よく返事した。やりゃぁ、できるじゃねぇか。
「よし、じゃぁいくぞ!」
第8話 成長
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