【第72話】
夜明けのノアニール
ゼネテスと親方の話をして、考え込んでいたら
エルフの隠れ里に戻ってきた。レルラとはここでお別れになるだろう。
「レルラ、着いたぜ
…大丈夫か?」
ゼネテスがレルラの方に振りかえった。
「あぁ…ありがとう」
アンとの出来事があって以来、初めて言葉を口にした。
「君達には…面倒をかけたね」
「気にすんな。まぁ、人生いろいろあるって。
すぐには元気でねぇかもしれないが
時間が解決してくれるさ」
「あぁ…」
「これから、どうするんだ?」
「女王様に…これまでのことを報告をするつもりだ」
「そうだなぁ…あの女王が直接洞窟まで娘を迎えに行くとは考えにくいが
血縁者の方が、何か良い案を思いつくかも入れないし
あそこまでアンの決意がかたいのであれば、女王も認めてくれるかもしれないしな」
「…」
レルラは答えなかった。女王が認めるということは、二人の中も認めるということだ。まだ抵抗はあるだろう。
「じゃぁな、達者でな」
「君達も」
俺達はレルラと別れた。
レルラと別れた後、俺達はノアニールの村長に報告するためノアニールに向かった。
ゼネテスが村長にどんな言い訳を考えているか知らないが俺はゼネテスに任せることにした。
洞窟から、隠れ里を通りすぎ一気にノアニールに戻るためかなりの強行である。
旅慣れた俺達でさえ、遠距離の移動はかなりの負担があった。しかしエルフの隠れ里には、一度追いだされているから泊まるわけにはいかなかった。野宿という案もあったのだが、俺もゼネテスにも体力には自信があるほうなので先を急ごうという話しになり休まずにノアニールに向かう。
幸い魔物と遭遇することもなく、ノアニールには夜が明ける頃についた。
「…はぁ…やっと見えてきたぜ…」
さすがに夜通し歩いたせいで俺も疲れていてた。
「村長との話が終わったら…ノアニールに一泊することになりそうだな」
ゼネテスも疲れを隠せないのかいつもの威勢がなかった。
「あぁ…ん?」
「どうした?」
「いや…なんだか町の様子が変なんだ」
「どう、変なんだ?」
「見張りが見えない。
ノアニールの町では、交代制で見張りをすることになっているはずだ。
いや…見張りが倒れているぞ!」
「…ほんとだ。町に何かあったのか」
俺達は武器を手に持ち、村にかけこんだ。
第73話 眠らされた村
前ページ:第71話 「名前の価値」に戻ります
目次に戻ります
ドラゴンクエスト 小説 パステル・ミディリンのTopに戻ります