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+--第13話 セシルとの出会い--+ 

ドアの辺りが騒がしかった。
するとドアから5人の戦士達が入ってきた。
いったい・・・・何なのだろう・・・・



「見つけたぞ、セシル!」

先頭にいた黒い鎧を着た騎士らしき人が
私の側にいた戦士に向かってそう叫んだ。

「ジェネラル・・・・」

その黒い騎士を見つめて、にらみ付けるセシルという戦士。

「その子を渡せ」

「!?」

びくっとした私。
その子・・・って・・私のことよね・・・・なぜ?

「・・・・・どういうことだ!?」

同じ疑問を持った戦士が尋ねる。

「王のご命令だ。
 ミストの生き残りの子供を引き渡せばゆるしてくださるそうだ。
 ミストそのものが危険な存在らしいのでな。
 その子を渡せ」


よくわからなかったけれど
話しを聞くとあの大火事で生きているのは私だけかもしれないってこと。
だって、ミストの生き残りって言ったから
きっとほとんどの人があの火事でお母さんと同じように死んじゃったんだ・・・

「この子は王城で処刑する」

「それが、バロン王の考えか!!!!」

そのジェネラルという騎士の声をきいて
セシルが怒り狂うように怒鳴った。

私を殺そうとしてる・・・・
それを聞いて何もできない私は毛布で震えた。
私、この兵隊さん達に連れていかれちゃうんだ。

「バロン王の考えは僕にはわからない。
 何故、ミストを焼き払ったのか・・・・
 たしかに、幻獣を扱うミストの人間が危険なのかもしれない。
 だからといって、無抵抗の人間を、
 子供まで殺すいい訳にはならない!」


「おまえがその子を渡さないというのは
 バロン王を裏切るということだぞ。
 おまえを殺してもその子は連れて帰る」


「・・・・・・・暗黒騎士団長セシルを侮るな。
 ひかないのなら、ぼくとて容赦しない」


そういうと5人の戦士は剣を抜いた。
しかしセシルと言われる戦士はそれよりも早く剣を抜き、
時には蹴りを、時には盾で体当たりをして
次々と戦士を倒していった。

あっという間の出来事だった。
攻撃を与える暇さえ与えなかった。
勝負は一瞬でおわった。
それほどセシルという戦士は強かった。
どの戦士も死んではいないみたいだけれど動けないようだった。

「バロン王に伝えろ。
 このセシル、悪魔に魂を売った覚えはない。
 もし、この子をまた襲うようだったら、
 ぼくが命をかえても守ると!」


そう言うと、部屋に入っていった兵士達は
体を支えながら部屋を出ていった。

・・・・体のふるえが止まらない。
こわかった・・・・こわかったよ・・・・・

そのとき、兵士達が出ていったドアを見つめていた
セシルという戦士が私をふりかえる。

その姿をみてびくっと震える。

「・・・・大丈夫かい?」

兵士達に投げかけた声とはうってかわって
優しくその人は声をかけてくれた。

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・怪我はないかい?」

「ごめんなさい・・・私のせいで・・・」

私は緊張の糸が切れたのと
今までの恐怖が急に襲ってきて
またしくしくと泣きだした。

「謝るのは僕の方だ。
 それも謝ってすむようなことじゃない・・・・」


そういうとセシルはうつむいた。

「・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・」

私は涙をぬぐった。

「でも・・・・・・守ってくれた」

この人は信用していいと・・・そう思った。
だから私は彼に名乗った。

「あたし・・・・リディア」

すると戦士はとても優しそうな笑みを返した。

「リディア・・・・・ありがとう」


それがセシルとの出会いだった。
お母さんを失ったあの出来事。
今思い出してもやっぱり悲しい。

でも、セシルがいてくれたから
今の私もいる。

セシル・・・・私こそ・・・ありがとう。



あとがきでございます。
第二部はリディアが母を失いセシルと出会う
ゲームでもあるシーンに付け加えた形で
リディアの視点で描いてしまいましたが
どうだったでしょうか。
原作のイメージはできるだけ壊さないようにしましたが。

ゲームで出てくるリディアより
ちょっと大人っぽかったかもしれませんね。
母を失ったとき、ゲームのリディアはただ泣きじゃくり
セシル達がドラゴンを倒したことを知ると
暴走してタイタンを呼ぶというシーンのところなのですが
リディアが母を失ったあと、
しばらくは現実として母の死を受け入れられない、
しかし時がたてばいつも側にいた母がいなくなり
それを実感する、
リディアが母親を殺されてしまった時の心理、
そのときのセシルやカインを見たときの心理、
そしてセシルに心をひらいたリディアの心理、
そんなところを書いてみたのですが
うまく伝わったでしょうか。

第3部は、リディアが自分の中で
心の傷を乗り越える”あの”シーンを書いてみようかと思います。


・第14話 「ローザ」(執筆完了)
第12話 「母の最後の言葉」に戻ります
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