【第113話】

カルロスとサブリナ


ご飯を食べていたら、ちょっとおセンチになってしまった私。

お母さんのこと、思い出しちゃった・・・・・

早く帰りたい・・・・・・


そんなことを考えて、下を向きながら宿にとぼとぼと帰っていた。


「あの・・・・・・・すいません・・・・・・・・」


突然、後ろから呼び止められた。


「は、はい?」


「もしかして・・・・・勇者チェルト様では・・・・・・・・」


わぁ・・・・・・・きれいな人・・・・・・・・

思わず、見とれてしまった。


「あ、あの・・・・・・ですから・・・・・・チェルト様ですよね・・・・・」


「え?・・・・・・あ、はい、そうです」


「やっぱり! あ、ありがとうございます!

 ありがとうございます!

 うっうっうっ・・・・・・・」


と言った後、いきなり、手を握られて、泣かれてしまった。

え?

えぇ?

何なの、この人!?

急に泣かないでよぉ・・・・・


「そ、その・・・・・・どうしたんですか・・・・・・・」


私がおたおたしていると、


「す、すいません・・・・・・・くすん・・・・・・・・

 チェルト様にお会いできたのが本当に嬉しくて・・・・・・」


「はぁ・・・・・・・・」


私が曖昧な返事をすると、また泣き出してしまった。

どうしよう・・・・・・・・


「あの・・・・・・・これ使ってください」


といって、ハンカチを差し出す。


「ありがとうございます・・・・・・」


とりあえず、泣きやむのを待つことにした。


「さっきはすいませんでした・・・・・・」


「ううん、いいんだけれど・・・・・・」


今、私はこの女性の家にいる。


「申し遅れました、私はサブリナと言います。

 そして、こっちが・・・・・・私の夫のカルロスです」


「お会いできて大変嬉しいです、チェルト様」


「チェルトでいいです・・・・・・」


様をつけられるのは、どうも性に合わない・・・・・


「チェルト・・・・・・様

 彼女・・・サブリナの家には、

 女性だけが使うことができる秘剣がまつられています。

 その秘剣の力を手に入れようと魔王バラモスは、

 我々を動物の姿に変えたのです・・・・・・」

 


第114話 誘惑の剣

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