【第161話】
記憶
すごくいい気持ち・・・・・・・
異空間をただよっているのだろうか?
母親にだっこされているよう・・・・・・・
竜の女王のぬくもりを感じる・・・・
「ん・・・・・・・・」
ゆっくりと目をあける。
ここはどこだろう・・・・・・
薄暗い・・・・
見慣れるまで少し時間がかかる。
女王様の姿はない。
だが、なんとなく見覚えがあるような気もする。
デジャ・ブかしら?
物音ひとつしない・・・・・・
いや、水が落ちる音がかすかに・・・・・
どこから聞こえる・・・・
私は音のある方向へ進んだ。
洞窟の中に泉がわき出ていた。
この泉には見覚えがあった。
ノアニールの洞窟で妖精のアンがかなわぬ恋いに身なげした泉だ。
胸をおさえ、目をつぶる。
とても・・・・・・・・せつなくなる・・・・・・・・
目を開けると景色がかわる・・・・・・・
そこには地面に膝を抱え込み座り込む少女がいた。
・・・・・・・・・・私だった。
あれは・・・・・・・・・テドン・・・・・・
大量虐殺された人々を埋葬して、考え込む私だった。
もう一人の私が泣いている。
それを見て、私もあの時の出来事を思い出し、泣く・・・・・・
また景色が変わった。
私は海にいる。
”エリック・・・・・・・”
”オリビア・・・・・・・”
二人の恋人の想い・・・・・・・・
引き裂かれる恋人達・・・・・・・
私の前で行われているのは
ラーミアの巫女の儀式。
このあと、あの悲劇が・・・・・・・
い、いや・・・・・・・
これ以上、みたくない・・・・・・・・・・
第162話 感情
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