【第177話】

浅はかな考え


小舟をゆずりうけた私は、東へすすみ、

アレフガルド一のラダトームに向かうことにした。


きっと、ここではゾーマに関するいろいろな情報が得られるに違いない。



「はぁ・・・・・つかれたぁ・・・・・」


魔法力を全快して、アレフガルドに来て、

たとえ近いとはいえ、一人で、海をこえて、

別の大陸に来たのだから、心身ともに疲れ切っていた。


多少魔物は襲ってきはしたが、

スライムと、その変種の赤いスライム

(はぐりんに後で聞いたところ、スライムベスというらしい)

くらいだったので、あしらう程度で、

私たちはラダトームについた。


城下町に入る。

大魔王に脅かされるとはいえ、町の中は意外に賑やかだ。


さて・・・・・・・

着いたはいいが、どうしようか?

やはり、お城に入るべきだとは思うのだが、

しかし、そう簡単には入れないかもしれない。


あっちの世界では父さんの名前が行き渡っていたから

その娘というだけで、お城にも入れたし、

王様も会ってくれたこともあるけれど、

こちらでは、一人の名のない少女だからね。


たとえ、強そうな武装をしていても

お城の中に入れないかもしれないね。


まして、ゾーマを倒しに来たっていっても

信じてもらえそうにないし・・・・・


う~ん・・・・・

どうしよう・・・・・


ん?

だったら、一人の街娘を装って、

お城に入るのはどうだろう?


王様には会えないだろうが、

しかし、街で得られない情報が得られるかも知れない。


食事を作るお手伝いさんみたいになって

忍び込むのだ。


へへへ・・・・・・

我ながら、良い案だ。


とりあえず、まず宿をとろう。

それで、一休みしたあと、

きれいに着飾って、ちょっとお洋服でもかって

おしゃれして・・・・


おっとっと・・・・私は何をうかれているんだ。


ロマリアで変装に味をしめて、

ちょっとうれしくなってしまった。


あくまで目的は情報集めだ。

街で情報集めをして、そのあと服を買い、

そのあと、城へお手伝いさんを装って忍び込む。


う~ん、なんて我ながら完璧なプランなんだろう。


(どこが完璧なんだか・・・・・)


ん?

なんか、言った?


(いえ、別に何にも申しておりません)


そう?


では、宿へ、let's go!


第178話 格安宿

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