魔王の影
霧が立ちこめた。
その霧は通常の霧ではなく、赤い霧だった。
そう・・・・人の血のように・・・・
この変なのは~~!」
はぐりんも、ただならぬ雰囲気に驚いている。
「これは・・・・・幻影魔法マヌーサ?
いや・・・・・これは・・・・・
霧そのものから殺気を感じる・・・・」
赤い霧は、どうみても自然に発生されたものではなかった。
霧で姿を隠し、その中に敵がひそんでいるのか・・・・・・
それとも・・・・
「まさか・・・・・・
この霧自体が魔物?」
”そのようなものだ”
私の声に答えるように
突然、人のしゃがれた声のようなものが聞こえてきた。
"貴様のようなものが、バラモスを倒したとはな・・・・"
ゾクッっとくるような低い声だ。
「お前は、ゾーマの手先!?」
私は実体のない声にそう叫ぶ。
”私は大魔王ゾーマ様の側近・・・・・
魔王の影という名で呼ばれることが多いがな。
どういうやつか・・・偵察に来たのだが・・・・・
やはり、人間を見ると殺したくなってくる。
ひ弱で、愚かな人間を見るとな・・・
クックックッ・・・・”
私は、稲妻の剣を抜き放ち、相手の攻撃に対応できるようにする。
魔力を得た剣が、光り輝く。
先ほどの戦いで、体力をかなり使い、
さらにライデインで魔法力をかなり消耗し、
正直言ってこの状態で戦うのはつらいが、
泣き言は言ってられない。
こちらがやらなければやられてしまう。
”大魔王様には、まだ、おまえを殺さないようにと
言っておいでおられたが
まぁ、よいだろう。
多少のおとがめはあるだろうが、
何より人間を殺す瞬間というのは
気持ちがよい・・・”
「・・・・・言いたいことがそれだけ?」
それが戦闘開始の合図だった。
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