死の言霊ザラキ
魔王の影は私にかけた呪文とは。
私の体に変化が起きた。
ウァアァアアア!!!!」
耐え難い苦痛が私を覆った
肉体的な苦痛ではない。
精神的な苦痛。
言葉には表せない、激痛。
誰かが、自分の心に入ってくる感覚。
心を丸裸にされる感覚。
そして、心臓を鷲掴みにされたような感覚。
死の臭い。
血なまぐさい臭い。
人のうめき声。
苦しむ。
泣く。
叫ぶ。
そういう感情が、音として私の心を貫き、
精神を崩壊させようとする。
私は魔法に対抗しようと、
体の中の魔法力を活性化させた。
しかし、魔王の影の絶対的な魔力は、
それを上回り、私には為すすべがなかった。
頭が締め付けられる。
助けて・・・・助けて・・・・
弱音を吐きたくないのに、
出てくる言葉はそんなことばかり。
人は死を目前としたとき、
絶対的な苦痛に遭遇したとき、
どんなに強くても、
この苦しみから、逃れたい・・・・
そう、思ってしまうのだろうか。
「チェルト~~チェルトぉ~~」
はぐりんの叫び声が遠くでかすかに聞こえるような気がする。
こんな痛み、味わったことない・・・・
”苦痛を逃れたいか?”
誘惑するような、魔王の影の声がかすかに聞こえる。
意識だけは、かろうじて残っていたので、
私は涙だらけの顔で、それをなんとか拒否する。
しかし、ここから逃れたい・・・・
”その苦痛から逃れる方法は1つ”
聞きたくないのに、その誘惑の声に耳を傾けてしまう。
”それは、死だ”
”死こそが安楽なのだ”
”死を手に入れることで、時という歯車を越え、
永遠に意識を手に入れることができるのだ。
私のように”
”さぁ、死を認めるのだ”
奴の声が、私を苦しめる。
絶対的な声で、奴が指示する。
死など、絶対に考えたくないが、
こんなにつらいのなら、死にたいという気持ちがでてきてしまいそうだ・・・
いや、いけない・・・それが奴の罠だ。
それを認めたとき、私の魂はきっと奴に吸い取られるに違いない。
魔王の魔力と私の精神力の戦いだった。
しかし・・・・均衡は崩れた。
私は、気を失いそうになる。
私は・・・・・負けて・・・・・しまうの・・・・
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