【第214話】
心優しき詩人
一人の詩人の唄だった。
その歌声は男性とも女性ともつかず
しかし、楽しさや悲しさなど、感情を感じさせてくれたものだった。
気がつくと、そこには私達しかいなかった。
声の主もそこにはおらず、
私達はたちつくす。
「夢じゃないよね・・・・・」
「僕もきいたよ!
きれいな唄だったね・・・・・」
はぐりんも聞いていたんだ。
幻聴じゃない。
「どこにいったんだろう・・・・」
「でも、きっとこのあたりにいるはずよ・・・・・
もしかして、あの人がガライだったんじゃ・・・」
「じゃぁ、探さないと」
私達は、さらに森の奥に進むことにした。
ひっそりと、森の背景にとけこむように。
ただ、周りをみてみると、火をたいたあとがあり、
人が住んでいることがわかる。
私は扉の前にたち、ノックをする。
「・・・・・・・・・お入り・・・・・・・・」
中から、さっきの歌声と同日人物の声が聞こえた。
「失礼します・・・・・」
小屋の中は、こざっぱりとしていたが、暖かさを感じた。
「さっきは・・・・・・・ありがとうございました」
「・・・・・・・・あのまま、戦っていたら
あなたか、それとも魔物達が命を落としていたから・・・・」
私はこの一言を聞いて、すぐにこの人を信頼した。
この人は、私だけでなく、"魔物達"の命も心配していたからだ。
命の尊さがわかる人だった。
私も限りない限り戦いはしない。
魔物と戦うのが好きなわけがない。
血を流すことが好きなわけでない。
やむを得ず場合のみ、剣を抜くことにしている。
「魔物達も尊い命ですものね。
おっしゃることわかります」
「それに、あなたは、魔法も使えるようだけれど、
木々を傷つけてほしくもなかったから・・・・・・」
とても優しそうで
しかしどこか悲しそうな顔でこたえた。
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