【第251話】
出来るではなく、何をするか?
どうにか、目の前の男に勝った。
その男は、シャンパーニの塔などで戦った
あの盗賊カンダタだった。
私はまだ、信じられない様子で、カンダタを見る。
「まぁ、信じられないのは、無理ねぇ」
「どうして・・・・あなたが、ここにいるの?」
「話すと長くなるのだが・・・」
そういって、カンダタは、いままでのいきさつを話し始めた。
俺はあのあと盗賊業から足をあらった。
なんだか、虚しくなってきてな・・・・・・
世界がバラモスのおかげで大変だっつうのに俺は人様のものを盗んで。子分をひきつれて。
バラモスが現れたって俺には関係ねぇ、どうせ、どうにもなりやしないって、だからそれまで好きなように生きてやる、そう思っていたよ。
もうどのくらい盗賊稼業をしていたかな。
物心ついていた頃から、盗みはしていたから、それが当然だと思っていた。
両親がいた記憶も俺にはない。盗みをしなければ生きていけなかったんだ。おぉっと、こんな身の上話をしてもしかたないな。
とにかく・・・・あんたと出会ってから何かが変わってきた。
あんたがシャンパーニの塔に現れたときは傑作だったな。たった一人のお嬢ちゃんに何ができるかって。案の定弱くて、返り討ちにしてやって。
でも、再戦を挑んできたあんたは強かった。俺は負けた。そしてその次も負けた。
そのうち、あんたの武勇伝が流れ始めた。
やまたのおろちを倒して、ジパングを救った勇者。サマオンサでバラモスの配下を倒し、勇者サイモンの再来とうたわれる勇者、ってな。
たった一人の人間に何ができるって最初は思ってた。でも、そうじゃねぇんだな。
「何が出来る」んじゃなくて、「何をするか」なんだよな・・・・・行動を起こさなければ何もできない。何も変わらない。あんたに・・・・・・・・教えられたよ。
第252話 男の意志
前ページ:第250話 「4度目の再会」に戻ります
目次に戻ります
ドラゴンクエスト 小説 パステル・ミディリンのTopに戻ります