【第252話】

男の意志


カンダタは私と出会った後、

自分がどういう気分でいたかを話し始めた。

盗賊業の虚しさ、そして、私と会って考え方がかわってきたことを。




あんたの武勇伝をきいているうちに、

あんたなら、本当に魔王バラモスを倒せるんじゃねえのか、

そう思ってきてよ。


自分から何かをしなければ変わらないのであれば、

俺が変えてやろうと。


それなら、俺もおまえのことを手助けしてやろうと思った。

俺もバラモス退治の旅を。


しかし、それも遅かったようだがな、

俺が旅をしているうちに、

おまえさんは、本当に魔王バラモスを倒しちまった。

実際、ほんと・・・・・・

あんた・・・・・・・・・すげえよ。


バラモスを倒した知らせはたちまち全国に広まった。

平和が戻ったんだって。

俺もそう思った。


それからしばらくたち、旅をやめ、これから何をしようか考えていた。

すると、しばらく俺の前に、一人の女が現れた。


びっくりしたぜ。

気配もせず、いきなりだもんな。

すぐに剣をぬいたさ。

しかし、その女は微動だにせず、俺に近づいてきた。


そいつは名前は名乗らなかった。


だが、その女は俺にキメラの翼をわたし、


勇者チェルトは魔王バラモスを倒しましたが、

魔王バラモスを操る大魔王を倒すため、

闇の世界アレフガルドに向かった、

彼女を手助けして欲しいと、

そう一言残して来えちまったのさ。




「それで、あなたはここに来たの?」


「あぁ・・・・最初はいきなり知らない奴に

 そんなこと言われても信憑性がないと思った。

 だから、おまえさんの家に行ったよ」


「アリアハンに行ったんだ」


「案の定、おまえさんはいなかった。

 それでお袋さんに聞いたら、魔物の残党を

 倒すためまた旅に出たと聞いた」


「おかあさんに・・・・・・・本当のことを話したの?」


「いや・・・・

 お袋さんが話すには本当の話しはしてなさそうだったから

 それ以上は聞かなかった。

 あんたが言わなかったってことは、

 それなりの事情があると思ったからな。

 だが、おまえさんがまた旅に出たと聞いて

 魔王バラモスよりすげぇ敵がいるのは核心にかわった。

 ただの魔物の残党狩りだったら、おまえさんが旅に出ることもないだろ。

 それでキメラの翼を使ってアレフガルドに来た。

 

 アレフガルドでも、おまえさんの話しは伝わっていたからな。

 あんたの足取りはすぐにわかった。

 そのあと、このアレフガルドのことや、伝説の武器防具の話しを聞いたってわけだ」


「そっか・・・・・・それで、オリハルコンを探してくれたのね。

 ありがと」


私は素直に感謝の意を述べた。


「よせやい・・・・・」


カンダタは照れながら頭をかいた。

あはは・・・かわいい。


第253話 レミラーマ

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