【第253話】

レミラーマ


カンダタは、大魔王の存在を知って、私を手助けに、

アレフガルドにやってきてくれた。

かつての敵だったけれど、彼の素直な話しを

きいてうれしかった。




「それにしても、よくあのドムドーラのオリハルコンの採掘所から

 オリハルコンを見つけたわね」


「あぁ?

 あれか、そう難しくもなかったぜ。

 秘術を使ったからな」


「秘術?」


「あぁ、レミラーマという・・・・・・・まぁ、魔法の一種だな」


「カンダタ、魔法使えないんじゃないの?

 それに、そんな魔法聞いたことない」


「魔法が使えないっていうのは、攻撃魔法の話しだ。

 それとレミラーマは、盗賊だけしか知らされていない魔法だ。

 だから、そんな魔法があることじだい、知られていないだろう。

 お宝のありかを調べる魔法なのさ」


「へぇ・・・・・そんな便利な魔法があるんだ」


「盗賊っていうと強盗みたいなイメージを持つかもしれないが

 しかし、実際は高等な技術を持った戦士でもあるんだぜ。

 さっき言った宝箱の探知から、ダンジョンなどのワナ解除、

 何より身のこなしも早くなければ盗賊業はつとまらないからな。

 熟練の盗賊は戦士にも劣りはしねぇ」


それは、さっきのカンダタの戦いぶりでもよくわかった。

実際、人間であれだけの強さをもつ者はそうはいないだろう。


盗賊という職業も少しばかり偏見をもっていたから

人の物を盗むことはやっぱりいけないことだけれど

少し見なおすこともあった。

高等な技術を持った者でもあると。


何はともあれ心強い仲間ができたものだ。


「おぉっと、これ以上立ち話も何だし、とりあえず、マイラに戻ろうぜ」


「うん」


「オリハルコンは、マイラの鍛冶屋に、事情を話し、

 剣を鍛えてくれるよう、頼んでおいた。

 何日かかるかわからないが、おまえさんにぴったりの剣ができているだろうよ。

 もっとも、あれだけの力を持つおまえさんには不要にも思えるがな」


「王者の剣というのが、どういう剣なのか、

 そして、私が持っている稲妻の剣よりすごいものなのかわからないけれど

 でも、きっと今のままではゾーマは倒せないわ。


 私は一度、ゾーマの配下に負けたことがある・・・」


私は魔王の影との戦いを思い出した。

あのとき、私は戦いを挑んだが、相手にならず、

敗北してしまった。

果たして、どうやってそれを切り抜けたかも覚えてない。


それに沈黙の洞窟での、サラマンダーとの戦いでも、

はぐりんの助力を得られなかったら、きっと、サラマンダーを倒せなかっただろう。


世の中には、魔王バラモスよりも、強い魔物が多く潜んでいるのだ。

そのために、伝説の武器防具を集めて、それを身につけられるように

自ら、鍛えないといけない。

もう敗北は許されない。


第254話 迎え人

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