【第26話】


全然話がかみ合わない、ご老人の熱意に負け、私はムーンを

おいていくことにした。えっ?仲間なのにひどいって?

でも、これからの危険な旅、あの子を巻き込みたくないから・・・・・

あ、そうだ、本題に入らなければ。

何故、ご老人はムーンを置いていけと言ったのか。

じつは、町づくりには、商人の知識が必要不可欠なのだが、

こんな何もないところに人も来るはずもなく、困り果てていたそうだ。

そこへ商人のムーンを見かけたので、スカウトしたいという事。

ムーンも、結構乗り気だったみたいで、彼女はここの町づくりを

手伝うことになった。


「チェルト、短い間だったけれど、楽しかったよ」

「・・・・・・うん・・・・・・」

「・・・・・・・泣いてるの?」

「そ、そんなことないよ」

「ふーん・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・泣いてくれてもいいじゃん」

「・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・泣いてもいいんだよ」

「・・・・・・・うん・・・・・・・」

いつもは、生意気で、ぼっーとしているこの子も

いざ、別れるときになると、たまらなく悲しくなってしまう。

涙をごまかすため、私はムーンを抱きしめた。

「なんかさ・・・・・あなたのこと、ほっておけないのよね。

 私、一人っ子でよくわからないけれど・・・・妹みたいで・・・・」

「・・・・・・・・私も・・・・・・・・私も、お姉さんができた気分だった・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・」

「一人で大丈夫?」

「なんとか、やっていく・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・」

「だいじょうぶよ!そんな心配な顔しなくて。

 私だって、商人のはしくれよ。

 ここで、チェルトがびっくりするような街を作るから!」


第27話 廃墟の町テドン

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