【第268話】
ルビスの塔
この一週間、私は、戦士、魔法使い、僧侶など自分が今まで戦ってきた知識をフルに使い迫る戦いのため傭兵隊を鍛えて指示を与えた。しかしその中にいつも複雑な思いがあった。
「さきほどメルキドのあたりに、大量の魔物達を見つけたとのことです。
その数は1000とも2000とも言われています」
ラダトームから派遣された一人の騎士が、騎士隊長にそう報告をしていた。
「・・・・・・・・・・・ご苦労」
みなが無言のまま黙り、重苦しい空気があたりをつつむ。
ここはメルキドの中心部であり、各隊の隊長やラダトームの騎士などの人が会議をするところだった。
「ついに来たか・・・・・・」
「やっぱり、戦になるんですね・・・・」
「避けられない戦いですから」
「・・・・・・・・・・・・・」
わかってはいたけれど・・・・
「チェルト様。
明日はメルキドが滅ぶかどうかの大きな戦になると思います。
我々はなんとしても敗れるわけには行きません」
「えぇ」
結局オルテガは間に合わなかったようだ。たぶん、明日大きな戦があることだろうけれど、オルテガが戻っていたら、きっともっとみんな顔が明るくなっているだろう。知らせも聞いてないし、暗い雰囲気は以前変わらず、オルテガが帰ってないことはわかっていた。
「大魔王は、大きく、魔物たちを3つに分けていると思います」
「3つ?」
「はい。
1つはこのメルキド。
もう1つはラダトーム。
そしてもう1つはルビスの塔に大量の魔物が徘徊しています」
「ルビスの塔?」
ルビスとは聞き覚えがある。たしか竜の女王様のときに聞いたんだわ。
「チェルト様は別の世界からいらっしゃったのですよね。
ルビス様はアレフガルドを創造した方です」
「ルビス様の話なら少しだけ知っているわ」
「そうですか。
マイラの村のさらに北に船でいった小島があるのですが
そこにルビス様が大魔王ゾーマの魔力によってとらわれているのです。
ルビス様に近づけないため、そこには凶暴な魔物が徘徊しているため、
誰も近づくことができません。
もしルビス様が復活なされば、きっとアレフガルドにも光が戻ると思うのですが・・・」
「そうなの・・・・・」
もしこの戦いが終わって勝利することができたら、ドラゴンロードに向かった後、ルビスの塔に赴くことになるかもしれない。
「チェルト様・・・・
実は・・・・・チェルト様にお願い事があるのです」
第269話 勇気を与えし者
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