【第289話】
竜神
私はメルキドを出た後、竜騎士伝説を信じドラゴンロードに向かった。ドラゴンロードにはたくさんの魔物が徘徊していたがそれらを退け頂上にたどり着いた。その頂上の祠があり、祭壇には物影が・・・
その物影はどうやら女性のようだ。
しかし、こんなに近くにいるのに特定しにくい。それはその物影が、透き通っていてほとんど実体をもっていない幻影のようだったからだ。
「あなたが・・・・・竜神か?」
私はその女性らしき幻影に話しかけた。
「そうです。
しかし私はすでにこの世の者ではありません」
想像と全然違った。ドラゴンを生み出す者であればそれ相応のドラゴンを想像していただけあって祠に入ったときに、この小さな祠にはドラゴンはいないだろうと思っていたのだが・・・・・・・多少拍子抜けしてしまったところがあったがしかし目の前の女性が竜神であれば、力を借りなければいけない。
「ぶしつけで申し訳ない。 実は竜騎士伝説の話を聞き メルキドから来たオルテガと申す者。 あなたの力を借りたい。 私を竜騎士にして欲しい」
私は単刀直入に用件を話した。
「・・・・・・それはできません」
その一言をうけ多少の衝撃を受けたが私は言葉を続けた。
「今世界は危機に瀕している。 どうしてもあなたの力が必要なのだ」
「・・・・・・・・・・・」
「私はアレフガルドの人間ではない。 別の世界のアリアハンというところから来た。 私の世界では魔王と呼ばれるものが世界を支配しようと 殺戮を繰り返していた。
このアレフガルドについたとき、 その魔王さえを配下にする大魔王の存在を知った。
奴の力は巨大だ。 太陽の光りを封じ込めるほど。
人間の力でできることは些細かもしれない。
しかしそのまま見過ごすわけにはいかないのだ。 たくさんの人が恐怖と絶望で生きる意味を見失っている。 誰かが立ち上がらなければ・・・・
竜騎士は空を自由に羽ばたくことができる。 竜騎士であれば大魔王の島に渡ることができる。 そのためにもドラゴンの力を借り、竜騎士に・・・・」
私は竜神に、自分の目的とどうして竜神の力が必要であることを告げた。
しかし
「・・・・・・竜騎士の誕生は今後ありません」
ただ一言そう返答が返ってきた。
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・そうか・・・・・・・」
第290話 向かう道は1つ
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