【第30話】

サマンオサ


勇者サイモン・・・・・・

父さんと名前を二分するほど有名な戦士だ。

サイモンは父さんと一緒にバラモスを倒しに行くはずだった。

しかし、彼は父さんとの約束の場所には現れなかった。

その原因を調べるため、私は勇者サイモンの故郷を訪れることにした。


「なにかしら、あの人だかりは?」

街にはいると、大勢の人が集まっているのが目に付いた。

近づいてみると何をしているかすぐわかった。

みんな喪服を着ているのだ・・・・・


「・・・・・・・すぐに立ち去った方が良さそうね」

わたしはサイモンさんの家を探すため、街の中心街で情報を集めよう

としたのだが、気になる言葉を耳にした。

「う、う・・・・何で、あんたがこんなめにあうの・・・・う、う・・・」

「ひでぇことしやがる、王様の悪口を少し言っただけで、死刑だなんてよ」

「親方、声が大きいですよ、城の兵士とかに聞かれますよ」


確か、サマンオサの王様は皆に好かれていて、温厚な方だと

聞いていたのだけれど。


「税金だって、去年の3倍だ。そんなことあるか!

 まるで人が変わったみてぇだ!」

「だから、声、大きいですって」


人が変わったみたい?いったい、王様の身に何があったんだろう?

とりあえず、王様に謁見しなければ。

「でも、その前に汚れた体を何とかしないとね。

 この格好じゃ、きっと会ってくれないわ」

私の服装は、数々の戦いでぼろぼろになってあちこち穴だらけだ。

新しいシャツを買い、この日は宿をとり、明日王様に謁見することにした。

夜まで少し時間があるのでので、武器屋でも見てこよっと。


「20000ゴールドぉ!?」

「お客さん、最近、サマンオサでは、物価が高いんですよ」

「だからって、20000は高すぎよぉ!」


手にしっくりした武器を見つけたんで、買おうと思ったんだけれど、

このいかにもいやらしいという感じのおじさん、

すごい値段をふっかけてきたの。


「この武器をなめてもらっては困りますよ、なんといっても

 よその国ではうっていない、一級品ですからねぇ、お客さん」

「・・・・・・・・・・・」

「いい買い物だと思いますよ」

「・・・・・・・・・・・」

「どうですかぁ?」

「・・・・ないでよ・・・・」

「え?」

バン!

「女だからって、なめないでよぉぉ!」

「ひっ!」

「本当の値段を言いなさい!」

「そ、そんなに怒らなくても、お客さん」

「言いなさい!」

「い、い、い、い、い15000ですぅ」

「・・・・・・・・・」

「い、13000ですぅ」

「・・・・・・・・・」

「・・・・・・11000です・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

「わ、わかりましたぁ、

 消費税込みで9800ゴールド!

 これで、どうだぁ!」


表の世界で買うことのできる最高の武器防具、

ゾンビキラードラゴンシールド、 高かったけれど、買いましたよ。

(実際は商人の町でドラゴンキラーが売られることになるけれど)

今まで、ずっとバハラタで買った鉄の斧魔法の盾だったからね。

一気に強くなった気がしまずぜ。

ボストロール、

倒しちゃる!


第31話 侵入者

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