【第305話】
聖域魔法トヘロス
新しい鎧、雷神の鎧を身にまとった私。背中には勇者の盾に王者の剣、腰には稲妻の剣をさす。目指すものは最後の伝説の防具、光の鎧のみだ。まずはルビス様をお助けしなければならない。
私は事前に軍船の船長と話をし、これからの進路や予定を打ち合わせた。
「あんたが、勇者様かい。
噂には聞いているぜ」
船長さんはがっちりした体格の人で海の男というのがぴったりだった。ミリーのところであった海賊みたいに迫力がある。海の男ってなんで、みんなこんなに大きいんだろう。食べているものが違うからかしら。
「はじめまして、チェルト・フレイユと言います。 よろしくお願いいたします」
「王から大体の話は聞いちゃいると思うが
俺達はこれから海の魔王を倒しにいかなきゃなんねぇ。
もちろん、俺も自分からこの戦いは志願した。
だが、正直なところマイラ近辺の海は誰も近寄りたがらないところだ。
海の魔王に出会って生きて帰ってきた者がいないからな」
「何か策は?」
「相手がどんなものかわからない以上、今回は様子見をして
姿だけを確認してから一度帰還したほうがいいと思うが」
懸命な考えだ。海の魔王を見つけた後、そのまま逃げきれるかという問題はあるが、数、大きさなどいっさいの正体がわからないため深入りせずにまずは確認して一度戻るのが安全策だと思われた。
「王もそのようなこと言っておりました。 まずは実状を調べること、 それに接触せずに上陸できればそれにこしたことはないですね」
「違いねぇ。わざわざ危険をおかす必要はねえんだ。
俺達の目的はルビス様をお救いすることだからな」
「問題は海の魔王に出会ったときにどのようにするかです」
「それと、あそこまで行くのに数々の魔物とも出会うことになるだろう。
そいつらとも戦い方も考えなきゃならんな」
この船長さん、みかけは大柄だが、いろいろなことに頭が回り慎重で頭脳派のようにも思えた。
「私はトヘロスの魔法を試してみようと思います」
「トヘロス?
俺は魔法のことはさっぱりでな。すまんな」
「トヘロスとは聖域魔法のことです。 実際に使ったことはないのですが 聖なる結界を張り、邪悪な存在を退けることができます。 もっとも術者より弱いものにしか効果がありませんので どの程度効果があるかはわかりませんが・・・・」
「あんた、そんな魔法使えるんか。
やっぱ勇者様はタダモノじゃねぇな」
そういうと船長さんはウンウンとうなずいた。
私自身トヘロスは使ったことがないのでどの程度効果があるかはわからないが無用な戦いはできるだけ避けたい。
うまくいけば良いのだが・・・・
第306話 アレフガルドの航海
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