【第309話】
悪魔の島
船は順調に航海を続けていた。トヘロスの効果はかなりのものだった。このまま無事ルビスの塔につけばいいのだが。
穏やかな航海。最初は何度か魔物が襲ってきていたが今はまったく魔物とも遭遇しなくなった。
私は船長と共に舵の近くにいた。
「おかしいな・・・・・」
ぽつりとつぶやく船長。
「何がおかしいんですか?」
「魔物がまったく襲ってこねぇ」
「幸運じゃないですか。 戦わなくてすむんですから」
私はあたりまえの意見を言った。
「魚などの生き物もまったくいねぇ」
「!?」
確かに、そう言われてみればそうだ。魔物のことばかり気をとられてそのことには気が付かなかった。
「何故だ・・・・
こんなことはありえねぇ・・・・・
胸騒ぎがするぜ・・・・・・」
確かに私も胸騒ぎがする。しばらくすると遠くに何か見えた。私と船長は目をこらした。
「なんだ、あれは・・・・島か?」
「みたいですね。 ルビスの塔でしょうか」
「しかしその割には塔らしいものが見あたらないな」
「方角を間違ったとか?」
「いや、それはない。方角はあってる。
だが距離的にまだルビスの塔に着くには早い」
「どうしますか?」
「あの島をよけながら先に進むしかないかな」
そういうと船長は徐々に舵を切り始めた。
「それにしても不気味な島ですね」
「あぁ、なんか赤黒い島だな」
船員達も目の前にある不気味な赤黒い島を見ている。
「もしかして、あそこに海の魔王がいるのかもな」
「だったら、近づかなければ・・・・・」
船員達のそんな声が聞こえた時だった。徐々に穏やかだった波が、大きな波になってきた。
「な、なに!?」
第310話 津波
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