【第322話】
明かりの魔法
暗闇の部屋で五体の魔物を倒した私。明かりがつくとそこには無残な死体があった。トラップに捕まった哀れな冒険者の変わり果てた姿だった。私はその冒険者達のことを弔ってあげたかったが、先に進むためこの部屋を出た。
塔に入ったあと右と左の通路があり、右に明かりがついていたのでそちらに行ったが人の心理をついたトラップだった。私は稲妻の剣を鞘にしまい、松明をつけ盾を構えながらもう一方の左の暗闇の通路を歩いていった。足元には充分気をつける。
いつも思うのだが、松明をつけると片手がふさがれ剣か盾の一方しか持てないのでかなり不便だ。あたりを明るくする魔法なんてあれば、きっと便利なんだろうな。大魔王を倒したら、賢者のようにいろいろな魔法の研究をするのも面白そうね。その時は敵を倒す魔法ではなく、人の役に立つ魔法を研究したい。もし辺りを明るくする魔法があったら、夜、火を灯さなくても本が読めるし市場や商店も夜さらに活発して人があふれるんじゃないかな。もしそんな魔法ができたら、そのときはレミーラとでも名づけてみるか。以前、カンダタが宝のありかを調べてその場所に明かりを灯す盗賊の魔法をレミラーマとか言っていたから、なんか語呂が似てて明るくなりそうな名前だし。
敵がいつ襲ってくるかわからない塔の中でまだ開発もされていない魔法を考えるなんていったい何をしているのかとも思うが一人で戦っていると、そしてたくさんの人の死体を見ると恐怖で押しつぶされそうなことがある。こんなことでも考えて気を紛らわさないと精神がおかしくなってしまう。
それにしてもこれがルビスの塔だと仮定だとしたらもともとはルビス様を祭る塔だったのだろうがトラップが仕掛けられているところをみると塔が魔物達によってかなり改造されていると思われる。つまりそれだけこの塔が重要拠点ということだ。
暗闇の通路を進んでいくと、また右と左に道が分かれた。両方とも暗闇のままだ。今度はダンジョン攻略の基本、左手の法則に従い左の道に進むことにした。
しばらくすると、上に登る階段らしきものが見えた。松明の炎に揺られて映し出される石の階段は古そうで年代を感じた。一階にはまだ探索していない通路がありそっちの方も気になるが私は松明を置き、紙を取り出し簡単にマッピングをして、一階と記入した後、再度松明を持ち二階に上がっていった。
第323話 メイジキメラ戦
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