【第329話】

度重なる暗闇


塔の二階には八つの宝があり

貴重な品を手にいれることができた。

二階に行き残したところはない。

私は三階につながる階段を登っていった。




一階同様、辺りは暗闇で先がまったく見渡せなかったので

松明に火をつけた。


「ウッ・・・・・」


すぐ階段の目の前に首なし死体が横たわってきた。

いきなり、これか・・・・


他のところで殺されてここに連れてこられたのか

三階に登ってすぐに殺されたのか・・・


わざわざ他のところで殺されて連れてこられた理由がない。

階段から登ってきた後、襲われたのだろう。

辺りに魔物が潜んでいるかもしれない。

注意深く松明を辺りに照らすと、

その回りに魔物らしき死体もあった。

こちらも腕と顔が刻まれている。

戦いの跡だった。

きっとこの冒険者と魔物達が戦ったのだろう。

かなりの激闘だったに違いない。

死体の回りに、あちこち焦げたあとがある。

炎の魔法でも使ったのだろうか。


一階でも、二階でも冒険者の死体を見てきたが

かなりの人間がこの塔に挑戦したのかもしれない。

それだけ、ここがルビスの塔の可能性が高いということだ。


しかしもう1つ気になったのは敵が少ないことだ。

敵のレベルは確かに高い。

今までは戦った中では沈黙の洞窟と同等以上の最強のレベルのモンスターが巣くっていると思う。

だが、数が少ない。

もしメルキドで聞いた話が本当であれば・・・・

ここがルビスの塔であれば・・・・

メルキド大戦で戦ったのと同量くらいの魔物がいるはず。

まだこの塔に入って10匹も魔物と対面してないのだ。

不気味だった。


そのとき、遠くで叫び声が聞こえた。


「なに!?」


さらに叫び声が聞こえ、そのあと金属音や爆発音がする。

剣や魔法の音!?

もしかして、まだこの階で戦っている人がいるのかもしれない。

だったら、助けにいかなければ!


私は音がする方へ走っていった。

お願い、間に合って・・・・


第330話 冒険者の叫び

前ページ:第328話 「祈りの指輪と炎のブーメラン」に戻ります

目次に戻ります

ドラゴンクエスト 小説 パステル・ミディリンのTopに戻ります