【第341話】
魔法の種と実
三百体の魔物との戦いを目前にして私はどう戦うか戦略を練った。一度戦闘状態に入ったら、途中でピンチになってもリレミトで脱出は難しい。一つ間違えれば死あるのみだ。
私はちらっと五階をのぞき込んだときの大広間の構図を思い出していた。部屋は大きな大理石のようで作られている柱が何十本も上の階を支えていた。
戦う位置は五階の階段付近か柱の側の二箇所考えられる。階段付近で戦えば、ピンチだったときにすぐに下の階には逃げられる。階段の通路はそれほど広くないため逃げながら戦うとき、階段の下で迎え撃てば二、三匹ずつ程度の相手と戦えばいいのでそれほど多数の敵と同時に渡り合うことは少なくなるだろう。
ただ問題は階段の足場が悪いし、数匹の攻撃を階段で凌いでも敵の数は数百匹だ。たった一人で一体一体攻撃をしてもスタミナが持たない。
別の問題として階段付近で戦うということは四階に退却しない限り五階で戦っているときは360度全体を見回して戦わないといけない。最低でも、正面と背後左右とそれぞれの斜め前後の方向、それに上空と九匹の相手と常に対峙すると思われる。
もう一つは柱を背に向けて戦う方法もある。これなら背中の敵は気にしないでいいので前と横、前斜め、上の六方向のみ気を配ればいい。
よし、この2つの方法を組み合わせよう。まずは柱の近くで戦い数を減らしたあと防ぎ切れなければ階段近くまで逃げながら戦い、四階で迎撃をしよう。
一体一体敵を倒してはスタミナが持たないため接近戦になれば仕方ないが、最初の遠距離にいる時点でできるだけ敵を倒したい。
膨大な魔力は使うがギガデインで遠距離から敵を倒すのが最良であると考えた。五階には天井があるため、それが抵抗になりギガデインは本来の力を出せないだろうが頂上に近い階でもあるから天井を突き抜けることは可能だろう。天井をつき抜けた余波のギガデインでもかなりの敵は倒せると思う。
続けざまギガデインを二発唱えることはできないので次に王者の剣の力を借りて遠距離でもう一回攻撃をする。
その二回攻撃を生き残った敵は・・・・後は一体一体倒すしかない。
私はベホマを使い完全回復した後長期戦を見越して接近戦でも長丁場持つようにこの塔の二階の宝箱で手に入れた命の木の実、力の種、素早さの種をすべて口に放り込んだ。これで耐久力、力、敏捷性が一時的にアップするはずだ。そして残り二つの祈りの指輪のうち一つを使い祈る。指輪は崩れていったが、魔力を完全に回復させた。
私は四階の階段を駆け上がった。情けは・・・かけない。
第342話 一瞬の判断
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