【第367話】

はぐりんの正体


はぐりんが聞かせてくれたスライム族の話と

彼らが人間に感じる恐怖、そして私に託したかった願い、

それをはぐりんは語った。

その気持ちはわかった。

だが…




「後を任せるって…

 どういうこと…

 さっきだって、”これが最後”とかいったでしょ?」


「単刀直入に言えば、今の君ではいくら力を持っていても大魔王の城には渡れない。

 あそこを渡るには不死鳥ラーミアをアレフガルドに連れていくか

 竜騎士のような空を飛ぶものでなければ近づけないんだ。


 しかし2つの神器と聖なる守りがあれば、あの島に渡ることができる」


「それは…ラダトーム王が言っていたわ」



いにしえの黒曜石

神に選ばれし勇気ある者

一度触れれば

太陽の輝きを取り戻す

 

精霊に守られし杖

命吹き込めば

雨雲の力が宿る

 

雨雲に集まりし、聖なる雨

 偉大なる太陽の光

 雨と太陽が合わさるとき…

虹の橋がかかる


これがラダトームに伝わる言い伝えだ。

聖なる守りのことは、この歌では歌われていないが

ルビス様が聖なる守りが大魔王の島に渡るときに必要だとおっしゃっていた。


そしてラダトーム王は太陽の石の光を取り戻した私に雨雲の杖を探せと言った。

しかし聖なる武具はすべて手に入れたのに

どうしても雨雲の杖の手がかりはどこにも得られなかった。


「二つの神器とは…太陽の石と雨雲の杖、そうラダトーム王は言っていたわ」


「そう、それがゾーマの城に渡る神器のこと」


はぐりんが頷く。


「そして君は太陽の石を持っていた時点で、その二つの神器を既に揃えていたんだ」


「………」


はぐりんの言っている理由が私にはまだわからない。

私は既に雨雲の杖を手に入れたということ?


「そう…ボクは……ボクそのものが雨雲の杖なんだ」


私は驚きのあまり声が出なかった。

第368話 はぐりんが語るスライムの歴史9

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