【第391話】
再サラマンダー戦
紫色のトロルが待ち伏せをしていたが炎のブーメランで不意を突くことで無傷で倒すことができた。そして沈黙の洞窟の出来事を思いだしたとき、魂を砕くような咆哮が聞こえた。
咆哮と共に現れた真紅の鱗を持った竜。
どんなものでも溶かす炎をはくと言われるサラマンダー、咆哮を聞いた者は恐怖で足がすくみ、魂を砕き、精神を壊すいわば魔法のような効果があると言われている。普通の人間が聞いたらそれだけで死に至るだろう。
沈黙の洞窟でも遭遇済みだが、圧倒的な力の前に直接咆哮を聞き精神的なダメージを受け私の体はその咆哮により体が動かない。
沈黙の洞窟でははぐりんが虹色の光を発し助けてくれた。今も私の側にいるが、彼が私を助けることはもうできない。
「ウッ…ウッワァァァァ!!!!」
私は気合の声をあげ、自らを奮い立たせる。体内の魔力を高め爆発させた。辺りに衝撃波が現れ、サラマンダーの咆哮の呪縛から自力で逃れる。
恐怖に押し負けたら終わりだ。私は勇者の盾を身構え王者の剣を鞘から引き抜きサラマンダーに立ち向かう。
サラマンダーは向かってくる私に灼熱の炎をはきかけた。すべてを溶かす強烈な炎である。しかし勇者の盾はサラマンダーの炎を退けることは実証済みだ。
私は勇者の盾を前にかざし、サラマンダーの灼熱の炎を真横によけた。余波を確実に受けとめ、かすり傷さえ追わないよう注意深く間合いを詰める。この余波だけでもすごい熱気と圧力を感じる。しかし以前はサラマンダーの直撃の炎さえ、この勇者の盾ははじいてくれた。これだけ動き回ればダメージを受けることなく回避できる。
サラマンダーも驚いただろう。直撃とは言わずともサラマンダーの灼熱の炎は余波だけで人を充分焼き殺す熱がある。その炎をうけて、生きているものなんかこの世にいないと思ったに違いない。二回目の炎をはきかけるまで、一瞬の間があった。
その瞬間を私は逃さない。私は一気にサラマンダーとの間合いを詰め王者の剣をサラマンダーに叩き付けた。
王者の剣の魔力により光の軌跡ができる。
そしてサラマンダーを一刀両断した。寒気がするような切れ味である。
切り刻まれたサラマンダーは血しぶきをあげまっぷたつに割れ、派手な音を立てて倒れた。
第392話 大魔人戦
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