【第392話】
大魔人戦
竜族最強のサラマンダーが再度私の前に立ちはだかった。はぐりんの助けもない私は咆哮により動きを止められたが魔法力を爆発させ、呪縛から逃れる。
一瞬の隙をつき、一刀両断した。
サラマンダーを無傷で退けた後、死骸を避け先に進む。しばらく進むと大きな扉があった。随分立派な扉である。
まさか、もう大魔王がここにいるのでは?と少し思いもしたがまだキングヒドラにも遭遇していない。
しかし大物がいるかもしれない。用心するにこしたことはない。私は大きな扉をゆっくりと開ける。
大きな広間に出た。大きさはルビスの塔で何百匹もの魔物と死闘を繰り広げた時にいた部屋の大きさはある。
「この広間は…」
広間の遙か先にまた大きな扉がある。
あの扉を進むと先に進めるのだろう。しかし気になるのはその扉に行く途中に見える大きな石像だ。
左右にそれぞれ二体ずつ配置され計十体ある。
この石像、どこかで見覚えがある。
確かバラモス城だ。近づくと突然襲ってきた石像がいた。色は違うが同じトラップであろう、そう予想する。
「十体か…きついな…」
全力で駆け抜け、先に見える扉をあけて逃げるという手もある。しかし扉はかなり大きくすぐには開きそうにない。
開けている最中に襲われる可能性は充分ある。あの巨体に攻撃をされたら一撃でつぶされるだろう。光の鎧などで身は包まれていても、物理的な衝撃はさけられない。下手すれば即死をする。
王者の剣が刃こぼれすることは考えられないけれど相手は石像で仮にも大魔王の城のトラップだ。並のモンスターではないだろう。しかも十体。
ここには柱もなく、背にするところもないため逃げる場所もないため複数の敵と渡らざるを得ない。
となれば…私は石像に向かって全力疾走した。私の接近と同時に一番近くの二体の目が光り動き出す。
「遅い!!!!」
私はスピードを緩めず、右側の一体の石像の足を剣でなぎ払った。足は粉砕し石像はその場に崩れる。
そのまま疾走を続けると、次々と石像が目を光り出した。私は右側にいる石像にねらいを定め、罠の発動とほぼ同時に次々と石像の足をすれ違いざまに切り落としていった。
右側に配置されていた石像はどれもバランスを崩し、うまく立ち上がることができなくもがいている。完全に倒したわけでないけれど、これで動けるのは半分に減らした。
動ける方の石像は一斉に私に襲いかかってくる。
私はその石像をかいくぐり、この部屋に入った扉に戻った。そこで残りの石像を一体ずつ撃退しようと考えていた。しかしその作戦を裏切るように、扉はガタンと大きな音をして閉まってしまった。
これも罠である。
「そんなに甘くないか…」
一番近い石像が私に拳を叩きつけてきた。ギリギリのところでかわす。石像の拳は床に激突し、粉砕した。
床の破片が私の鎧に当たる。破片の物理ダメージはないに等しいがすごい力である。まともに受け止めるわけにはいかない。
別の石像が私をつかもうとしたが、その腕に飛びのり、相手の頭上まで走る。もう片方の手で私をつかもうとしたが、別の手に飛びうつる。頭上まで一気に駆け登り、王者の剣を振りかざし頭を粉砕した。
第393話 大魔人戦2
前ページ:第391話 「再サラマンダー戦」に戻ります
目次に戻ります
ドラゴンクエスト 小説 パステル・ミディリンのTopに戻ります