【第400話】
ドラゴンゾンビ戦
ルビスの塔にあった床トラップ。自分の意思と関係なく、進む方向を変えられる法則性を見つけ模様地帯を抜けることが出来た。
もしあのときに上空から魔物が襲ってきたらどうなっていただろう。
先に進むとさらに下りの階段があった。トラップを警戒しながら注意深く階段を一歩一歩踏む。階段を降りて下の階に着くと突然、凍りつくような吹雪が辺りを覆った。
階が変わり、魔法の力で部屋全体の環境が変わったのかと一瞬思ったが吹雪は一方から吹き付けていた。
魔物の攻撃だと知り、私はあわてて勇者の盾で身を守るが、防御が遅れたため肺にかなりの冷たい息を吸い込んでしまった。咳き込むこともできない。吹雪がやむと、壁や床など凍りついていた。
前を見るとリムルダール周辺で戦ったスカルゴンがいる。
色が少々違うようだがかなり大型のスカルゴンだ。ゾンビ型の魔物は気配の察知が難しいので不意打ちをされてしまった。
回復魔法を唱えるにも口がうまく動かない。喉や肺に霜が入っているような気がする。そして人間の体は冷えると、体も動かなくなる。
スカルゴンは巨大な尻尾を薙ぎ払った。いつもなら難無くかわせる攻撃だが寒さで体が動かない私は直撃をうけ、体ごと吹き飛ばされた。
「くっ…」
打撃を受ける瞬間かわせないと知った私は、後ろに飛びダメージを拡散させた。しかしなぐさめ程度の軽減である。鋭い痛みが体に走った。光の鎧がなかったら体がバラバラになっていただろう。
吹き飛ばされながらも、倒れないように踏みとどまり体勢を立てなおす。
再度吹雪の攻撃がきた。かじかむ手で今度はしっかりと勇者の盾をかまえ吹雪を遮断する。
(早く…早く…)
回復魔法が使えない今、光の鎧と命の指輪による回復を待つしかない。しかし回復は時間がかかり、その間を魔物は与えてくれず、次々と攻撃を繰り出してくる。
私は一瞬天井に目をやると稲妻の剣を振りかざした。イオラの弾は天井にあたり、石片が散らばる。私はさらにイオラを次々と発生させ、天井の一部を崩し魔物と私の間に瓦礫の山を作った。激しい砂煙のため、魔物の姿は見えない。相手にとっても私の姿が見えないだろう。少しでも時間を稼ぐ。
光の鎧は私に徐々にではあるが力を与えてくれた。喉、肺に空気が入るようになり、徐々に手足も動くようになる。
砂煙がなくなり、瓦礫が崩れた。巨大な魔物がこちらを見ている。見つかったようだ。
スカルゴンはまた薙ぎ払いによる攻撃を仕掛けてきた。瓦礫ごと吹き飛ばす。私はベホマを使い、打撃による体の痺す。同時に体も温かくなった。薙ぎ払われた尻尾をギリギリ飛び上がってかわす。
動ける!
普段の身体能力を取り戻した私は吐きつける吹雪と薙ぎ払いを注意深く防御しながら王者の剣で足から切り崩した。巨体が揺らぐ。続けざまもう片方の足も王者の剣を叩きつけ、魔物はバランスを完全に崩した。
魔物は声帯を持たないせいか悲鳴もあげないが、ダメージは受けているはず。しかしどこが急所かわからないため、バラバラになるまで壊すしかない。私は手を緩めず攻撃を繰り出す。
しばらくすると辺りに大型スカルゴンであった骨が散らばった。
第401話 ソードイド戦
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